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柴田悠

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社会学者/京都大学大学院人間・環境学研究科教授

報告

補足東京都は、たしかに大きな財政規模をもち他道府県から若い女性も流入しているので、少子化対策に有利な面があります。 他方で、東京都の若者の希望出生率(結婚と出産の希望が完全に実現した場合の出生率の推計値)は2010年で1.76で、同じ2010年の全国の希望出生率1.83と比べて0.1ほど低い程度だったので、2021年の全国の希望出生率は1.6であることを考えると、おそらく現在の東京都の希望出生率は1.5程度でしょう。2023年の東京都の出生率0.99でしたので、0.5人ほど「結婚・出産したいのにできていない」状態にあると考えられ、まだまだ「結婚や出産をしやすい環境」が完全に整ったとはいえません。 地方から若い女性が流入している以上、東京都には少子化対策を充実させて日本全体の出生率低下を緩和させる責任もあるのではないかと思います。

同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 末冨芳

    末冨芳認証済み

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    日本大学教授・こども家庭庁こども家庭審議会部会委員

    見解東京都と大阪府が先行する所得制限のない高校無償化、確かに課題は自治体間の財政力格差かもしれませんが、…続きを読む

コメンテータープロフィール

柴田悠

社会学者/京都大学大学院人間・環境学研究科教授

1978年、東京都生まれ。京都大学総合人間学部卒業、京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。専門は社会学、幸福研究、社会政策論、社会変動論。同志社大学准教授、立命館大学准教授、京都大学准教授を経て、2023年度より現職。著書に『子育て支援と経済成長』(朝日新書、2017年)、『子育て支援が日本を救う――政策効果の統計分析』(勁草書房、2016年、社会政策学会学会賞受賞)、分担執筆書に『Labor Markets, Gender and Social Stratification in East Asia』(Brill、2015年)など。

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