補足五輪の柔道の団体戦で広く存在が知られるようになった「電子式ルーレット」だが、非常に興味深い論点を含んでいるように感じた。 TVで観戦していたが、ルーレットが出てきた時、演出上はフランス柔道界のレジェントとされるリネール氏と、日本の柔道界のレジェンドである斎藤氏の息子が対戦すると、決定戦としてこれ以上盛り上がる組み合わせはないと感じていた。ルーレットはその期待通りの結果を出してくれた。 これを偶然とするか、演出上の操作があると感じるかはともかく、ルーレットの計算式の中に、単純な確率ではなく、演出上の効果を考えた傾斜配分が組み込まれていても不思議ではない。つまり、ソフトウェアの計算式(AIではアルゴリズム)がどのようなものであるかを外部から知ることはできない以上、そこに何らかの作為を組み込むことがあり得ることを否定もできない。 これは、AIの議論における透明性や説明責任の問題である。
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コメンテータープロフィール
岡山県出身。一橋大学大学院修了(博士・法学)。防衛庁防衛研究所主任研究官(アメリカ研究担当)より拓殖大学海外事情研究所教授。専門は、国際関係論、安全保障、アメリカ政治、日米関係、軍備管理軍縮、防衛産業、安全保障貿易管理等。経済産業省産業構造審議会貿易経済協力分科会安全保障貿易管理小委員会委員、外務省核不拡散・核軍縮に関する有識者懇談会委員、防衛省防衛装備・技術移転に係る諸課題に関する検討会委員、日本原子力研究開発機構核不拡散科学技術フォーラム委員等を経験する。特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の自律型致死兵器システム(LAWS)国連専門家会合パネルに日本代表団として参加。