見解給特法は、労働時間と賃金が連動しない「定額働かせ放題」の状況を生み出してきました。給特法を維持する前提であるならば、私の意見としては、教職調整額の4%から13%への増額分を、正規採用の教員を増やすために使ったほうがよかったように思います。つまり、賃金増額ではなく、労働時間縮減を優先させる方策です。 ただ現実にはとくに小学校では採用倍率が1倍近くにまで低下している自治体もあることを踏まえると、仮に正規教員を増やせなくても、学校の業務の外部化・合理化に要するコスト(サポート人材の雇用や、校務支援システムの導入など)に充てることを優先すべきだったと考えます。 いずれにしても、労働時間と賃金が連動する労基法をふまえると、給特法下では賃金(の増額)とは別に、労働時間を抑制する「焦り」を使用者側に生み出す仕掛けが不可欠でしょう。給特法ではその「焦り」が法的には生じないだけに、不安は残されたままです。
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コメンテータープロフィール
学校リスク(校則、スポーツ傷害、組み体操事故、体罰、自殺、2分の1成人式、教員の部活動負担・長時間労働など)の事例やデータを収集し、隠れた実態を明らかにすべく、研究をおこなっています。また啓発活動として、教員研修等の場において直接に情報を提供しています。専門は教育社会学。博士(教育学)。ヤフーオーサーアワード2015受賞。消費者庁消費者安全調査委員会専門委員。著書に『ブラック部活動』(東洋館出版社)、『教育という病』(光文社新書)、『学校ハラスメント』(朝日新聞出版)など。■依頼等のご連絡はこちら:dada(at)dadala.net