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太田康広

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慶應義塾大学ビジネス・スクール教授

報告

補足最低賃金規制は、価格を強制的にコントロールする仕組みなので、基本的には望ましくない。たとえば、もっと安い給料で人を雇いたい企業があって、その給料で働きたい人もいるのに、法律でそれを禁止してしまうと、雇用が成立せずに無駄が生じることになる。 しかし、電気やガスを運ぶ部分の料金や鉄道の運賃が高すぎて効率が悪くなる場合に、政府が料金を制限するのと同じように、地方では雇用を提供する企業の数が少なく、働き手を雇う側(企業側)が独占状態になると、給料が不当に安く抑えられてしまい、これも非効率になる。そのため、最低賃金を決めることには意味がある。 最低賃金を支払ったあとでも利益を出せない企業があるなら、その場合は事業の内容を見直す必要がある。「収益力を強化する」ために補助金や助成金に頼り続けるのは問題だろう。その資源を、もっとほかの事業に使ったほうが、社会全体にとって良い結果を生むにちがいない。

同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 常見陽平

    千葉商科大学国際教養学部准教授/働き方評論家/社会格闘家

    解説「だから、最低賃金を引き上げるのは問題だ」と片付けてはいけない。タイトルに引っ張られてはいけない。文…続きを読む

  • 秋元祥治

    やろまい代表取締役/武蔵野大学EMC教授/オカビズ

    提言あらゆる物の価格が上がりはじめて、すでに2−3年とたつ。ロシアによるウクライナ侵攻や原油高、さらに円…続きを読む

コメンテータープロフィール

太田康広

慶應義塾大学ビジネス・スクール教授

1968年生まれ、慶應義塾大学経済学部卒業、東京大学より修士(経済学)、ニューヨーク州立大学経営学博士。カナダ・ヨーク大学ジョゼフ・E・アトキンソン教養・専門研究学部管理研究学科アシスタント・プロフェッサーを経て、2011年より現職。行政刷新会議事業仕分け仕分け人、行政改革推進会議歳出改革ワーキンググループ構成員(行政事業レビュー外部評価者)等を歴任。2012年から2014年まで会計検査院特別研究官。2012年から2018年までヨーロッパ会計学会アジア地区代表。日本経済会計学会常任理事。

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