バイデン氏とトランプ氏「どちらも嫌い」、米有権者の25%-調査
Bloomberg
見解大統領候補に対する不信感が高いのは、両方ともに大統領経験者であること、また、国民の間で大統領に過大な期待があることの反映かと思います。連邦議会の支持率が20%を一貫して下回り続ける状態で、変革を求める国民の声は大統領に向かいますが、大統領に出来ることは限られています。グローバル化に起因して全世界的に起こっている問題(例えば格差)を大統領が単独で解決するのは不可能です。そもそも、大統領が政策的な対応をしようとしても、連邦議会がそれに対応する予算をつけなければ動けません。大統領に出来ることは限られているのです。バイデンとトランプは共に大統領経験者で、国民の期待が寄せられたものの、国民が期待するほどのことはできなかった(やりようがなかった)人物です。政治社会の分断が激化し、対立するメディアからの批判が常軌を逸するほど強くなっている現在、このような現象が起こるのも不思議ではありません。
専門は比較政治・アメリカ政治。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了、博士(法学)。主要著書に、『〈犯罪大国アメリカ〉のいま:分断する社会と銃・薬物・移民』(弘文堂、2021年)、『格差と分断のアメリカ』(東京堂出版、2020年)、『アメリカ政治入門』(東京大学出版会、2018年)、『アメリカ政治講義』(ちくま新書、2018年)、『移民大国アメリカ』(ちくま新書、2016年)、『アメリカ型福祉国家と都市政治―ニューヨーク市におけるアーバン・リベラリズムの展開』(東京大学出版会、2008年)などがある。