見解ウクライナ軍の発表が確かなら、予告通りともいえる。クルスク周辺の北朝鮮兵は約1万人とみられているが、ゼレンスキー大統領は10月末、「北朝鮮との交戦が近日始まる」と述べていた。 その段階でゼレンスキーは「北朝鮮兵は戦闘にまだ参加しておらず、準備中のようだ」とも述べていた。 とすると、本格的に攻撃される前に一撃を加えて出鼻をくじくとともに、NATOに協力を要請するアピールをしているともみられる。先進各国は北朝鮮の参戦に憂慮を示しているものの、昨日のゼレンスキーの声明によると「残念ながらパートナーに支援増強の動きはない」。 北朝鮮兵の戦闘参加が本格化すれば、懸念はヨーロッパの戦線拡大だけではない。アメリカの戦争研究所は「北朝鮮はウクライナで兵士に実戦経験を積ませ、先進国の戦術を研究しようとしている」と指摘する。そのため日韓を含むアジア諸国にとっても問題は大きくなるとみた方がよいだろう。
コメンテータープロフィール
博士(国際関係)。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学などで教鞭をとる。アフリカをメインフィールドに、国際情勢を幅広く調査・研究中。最新刊に『終わりなき戦争紛争の100年史』(さくら舎)。その他、『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)、『世界の独裁者』(幻冬社)、『イスラム 敵の論理 味方の理由』(さくら舎)、『日本の「水」が危ない』(ベストセラーズ)など。