見解連合軍侵攻に備えて、10万近い沖縄守備軍が移駐してきたこともあって県民を県外に疎開させることにしました。島嶼ですから船での疎開、その最初の船が対馬丸でした。 私が制作した最初のドキュメンタリーのテーマが対馬丸でした。 800人近い子どもが乗っていてそのほとんどの方々が死んでしまった事実を知った時、言葉を失ったのを覚えています。 学校ごとに疎開したこともあって、兄弟、姉妹が共に亡くなったケースが数多くありました。 助かった人々にその後の疎開事業が滞ることを恐れた行政、軍部は沈没の事実を口にしないよう緘口令を敷きました。 松永さんの通っていた、那覇中心部の甲辰国民学校は、沈没から一月余りの10・10空襲で焼け落ち、戦後も再建されませんでした。 戦争は、子どもを含む市民の命を否応なく奪う、今もガザ地区などでも続きます。戦争が罪のない人々に何をもたらすのか、対馬丸の悲劇を語り継ぎたいと思います。
コメンテータープロフィール
早稲田大学法学部卒業後NHK入社 沖縄放送局で沖縄戦や基地問題のドキュメンタリーなどを制作。アジアセンター、報道局チーフプロデューサーをへて、「戦争証言プロジェクト」・「東日本大震災証言プロジェクト」編集責任者として番組とデジタルアーカイブを連携させる取り組みで、第37回、39回の放送文化基金賞受賞。その後、Yahoo!ニュースプロデューサーとして全国の戦争体験を収集する「未来に残す戦争の記憶」の制作にあたる。2023年から日本ファクトチェックセンター副編集長として、ファクトチェックとリテラシー教育に取り組む。立教大学大学院 特任教授 デジタルアーカイブ学会理事 及び 地域アーカイブ部会会長
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