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78年後の戦争の伝え方 あの時をあらたな言葉で、映像で見つめ直す営み #戦争の記憶

宮本聖二立教大学 特任教授 / 日本ファクトチェックセンター副編集長
福島・会津にやってきたヒトラーユーゲント 子どもたちがサインを求めている

日中戦争、太平洋戦争の終結から78年になりました。

戦後60年を経た頃から、直接体験した方が少なくなると報道も縮小していくのではないかと危惧していました。

しかし、今年は例年以上に戦争と平和に関わる記事、コンテンツの数も多いですし、伝え方や主題の選び方がとても豊かになっていると感じています。

たとえば、継承のありようや戦争を受容した社会や人の意識に迫ろうという記事が目立ちます。

また、時間が経過したがゆえに自らの過去に向き合おうという体験者を探し出す、あるいは、映像を発掘し分析を加えて新たな視点で戦争を見つめる地域の新聞、テレビ局があります。

この夏のそうした各社の記事をまとめてみました。

まず、昨年亡くなった、高見のっぽさんの言葉を伝える記事。

子ども向けの番組に長年取り組んだのっぽさんは、視聴者が子どもだからこそ、工夫を凝らし、常に質の高い演技を追求し続けました。

それは、子どもにすら犠牲を強いる戦争推進の権力の存在に気づき、怒りを抱いたからだと言います。

「小さい人をだますな」 優しいのっぽさんの静かな怒り 感じた現代の”きな臭さ” 毎日新聞

「78年前に別れたままの同級生、墓前に会いに行った女性」 熊本県民テレビ

友人を戦争で失ったこと、これを70年以上心の中に押し込めていた女性が語り始めした。

会津にやってきたヒトラーユーゲント フィルムから浮かび上がる日独の破滅への出発点 福島中央テレビ

発見された80年以上前ふるさとを撮影したフィルムから、日本とドイツが接近する生々しい様子が見つかりました。

瀬戸内の島が目撃した米軍機の執拗な攻撃 ガンカメラが蘇らせた 愛媛新聞

アメリカ軍が撮影した攻撃をする映像、映っていた艦を割り出し、さらにその場所を特定しました。そのことで、目撃したり、救援したりした人々の存在がわかりました。

戦争終結からの長い年月の経過は、戦争体験を伝えることが難しくなるのではないか、目を向ける人がいなくなるのではないかと思われていました。

その中で、さまざまな個人や団体が、地域にもたらした戦争の記憶と記録を継承して、伝える活動を始めています。

一方、メディアの側もそうした動きを伝えるとともに、自らも戦争の伝え方を工夫しています。

今後もそうした意欲的な取り組みに注目していきたいと思います。

【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが共同で企画したキュレーション記事です。キュレーション記事は、ひとつのテーマに関連する複数の記事をオーサーが選び、まとめたものです】

立教大学 特任教授 / 日本ファクトチェックセンター副編集長

早稲田大学法学部卒業後NHK入社 沖縄放送局で沖縄戦や基地問題のドキュメンタリーなどを制作。アジアセンター、報道局チーフプロデューサーをへて、「戦争証言プロジェクト」・「東日本大震災証言プロジェクト」編集責任者として番組とデジタルアーカイブを連携させる取り組みで、第37回、39回の放送文化基金賞受賞。その後、Yahoo!ニュースプロデューサーとして全国の戦争体験を収集する「未来に残す戦争の記憶」の制作にあたる。2023年から日本ファクトチェックセンター副編集長として、ファクトチェックとリテラシー教育に取り組む。立教大学大学院 特任教授 デジタルアーカイブ学会理事 及び 地域アーカイブ部会会長

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