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前田恒彦

前田恒彦認証済み

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元特捜部主任検事

報告

解説刑事裁判の結果は13億円超ともいわれる男性の遺産の行方にも大きな影響を与えることになります。男性が全財産を和歌山県田辺市に寄付するという遺言書を残していたとして、現在、田辺市と男性の兄らとの間で民事裁判が続いています。これが無効なら元妻は遺産の4分の3を、たとえ有効でも遺留分として2分の1を取得できるというのが原則です。 ただ、「相続欠格」という民法の規定により、故意に被相続人を殺害して刑に処せられた場合、相続開始時にさかのぼって相続人になることができなくなります。 配偶者には相続税法上の税額軽減制度があるので、1億6千万円までか、法定相続分に相当する金額までは相続税が非課税となります。この事件では後者が適用されるので、元妻が無罪を勝ち取れると、相続税を1円も納めることなく相続できます。逆に検察側の控訴で逆転有罪となって確定すれば、元妻は1円も手にすることができなくなるというわけです。

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コメンテータープロフィール

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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