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前田恒彦

前田恒彦

認証済み

元特捜部主任検事

報告

解説逮捕状に基づく通常逮捕の場合、その逮捕状を被疑者に示した時間が逮捕時間になり、通常逮捕手続書という書類にもその時間を記載しています。ここから48時間以内に送検手続を行う必要があるからです。 一方、メディアには記者クラブの幹事社などに警察幹部ら広報担当者から公式発表として逮捕容疑の概要などとともにこの逮捕時間を伝えるわけですが、NHKがフライング報道をしたということは、公式発表とは別の情報源があり、例えば男が殺人容疑による逮捕のために警察署の取調べ室に入った時間が伝わったなど、情報伝達に何らかの誤りがあったということではないでしょうか。 同業他社に先んじで報じることに意義があると考えるメディアにありがちなミスですが、この日に逮捕することは既定路線であり、逮捕事実の報道が他社より早いからといって社会的にどれだけの意味があるのか疑問です。警察の情報管理の甘さも原因の一端といえるでしょう。

コメンテータープロフィール

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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