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前田恒彦

前田恒彦認証済み

認証済み

元特捜部主任検事

報告

解説一人暮らしの女がその日の昼食や夕食として食べる分量の食料品を巧妙な手口で計画的に万引きした事案とみられ、クレプトマニアの診断基準A(個人的に用いるためでもなく、またはその金銭的価値のためでもなく、物を盗ろうとする衝動に抵抗できなくなることが繰り返される)には当たらないと思われます。 たとえクレプトマニアだとしても、こうした事案に対する裁判所の判断傾向をみると、それで責任能力が否定されることはないし、単に主張しただけではダメで、弁護人が本人の反省と治療に向けた強い意欲や周囲の支え、入院・通院などの治療計画などを具体的に示し、服役に代わる十分な再犯防止措置がとられていると立証できた段階で、ようやく情状面で一定の考慮がなされるといった流れとなっています。 この記事では弁護人がそこまで立証できているのか不明ですし、そもそも女は窃盗の故意を否認しており、反省とは対極にある点も気になるところです。

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同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 井上智介

    精神科医/産業医

    補足『病気だから許してあげてほしい』 そのような声もあるかも知れません。しかし、万引きをされたお店から…続きを読む

コメンテータープロフィール

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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