教員残業代 働き方改革条件に段階的引き上げへ 財務省案
テレビ朝日系(ANN)
見解今回、財務省は残業時間や事務作業の削減といった働き方改革が進むことや財源が確保されることを条件に、教職調整額を現在の4%(8時間分)から5年間をめどに10%(20時間分)まで引き上げていくと述べている。しかし、残業時間や事務作業の削減の前提として、人員増加及びそのための財源が必要であり転倒している。また、財源確保についても、日本の公的支出の中で教育費が占める割合は8%と、OECDに加盟する36か国でワースト3位であり、国際的にも教育予算が少なすぎる。この間、文科省も、教職調整額を13%に増額する案を示しているが、昨年の文科省調査を見ても、月45時間以上残業した教員は中学校で77・1%、小学校は64・5%にも及んでおり、仮に13%(26時間分)になっても実態には程遠い。その場しのぎの対応ではなく、「給特法」の廃止や、抜本的な教育予算及び人員の増加などが必要だろう。
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NPO法人「POSSE」代表。年間5000件以上の労働・生活相談に関わり、労働・福祉政策について研究・提言している。近著に『賃労働の系譜学 フォーディズムからデジタル封建制へ』(青土社)。その他に『ストライキ2.0』(集英社新書)、『ブラック企業』(文春新書)、『ブラックバイト』(岩波新書)、『生活保護』(ちくま新書)など多数。流行語大賞トップ10(「ブラック企業」)、大佛次郎論壇賞、日本労働社会学会奨励賞などを受賞。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。専門社会調査士。