見解現在、公立教員へは「教職員給与特別措置法」が適用され、給料月額4%相当(月8時間分)の「教職調整額」が支給される代わりに、時間外および休日勤務をどれだけ行っても残業代は払われない。一方、昨年文科省が発表した調査では、月45時間以上残業した教員は中学校で77・1%、小学校は64・5%にも及んでおり、月8時間分の「教職調整額」では全く足りていない。このような「定額働かせ放題」の状況は、公立教員へ過重労働を強いる大きな原因だと批判されてきた。また、同じ労働をしている私学教員や国立教員には、民間労働者同様に1分単位で残業代が払われており、その点からも矛盾は明らかであった。文科省の試算によれば、今の実態に応じて公立教員へ残業代を支払うと、年間9000億円が必要だという。残業代支払いはもちろん、過重労働をなくすための人員増加のためにも、OECD加盟国最低レベルの教育予算を抜本的に増やす必要がある。
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コメンテータープロフィール
NPO法人「POSSE」代表。年間5000件以上の労働・生活相談に関わり、労働・福祉政策について研究・提言している。近著に『賃労働の系譜学 フォーディズムからデジタル封建制へ』(青土社)。その他に『ストライキ2.0』(集英社新書)、『ブラック企業』(文春新書)、『ブラックバイト』(岩波新書)、『生活保護』(ちくま新書)など多数。流行語大賞トップ10(「ブラック企業」)、大佛次郎論壇賞、日本労働社会学会奨励賞などを受賞。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。専門社会調査士。