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川上泰徳

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中東ジャーナリスト

報告

見解米欧諸国のUNRWAへの資金拠出の一時停止は、UNRWAへの圧力よりも、UNRWAの支援を受けるガザ市民に圧力をかけることで、戦闘を続けるハマスから民衆を離反させ、間接的にハマスへの圧力をかける動きに見える。現実的にはイスラエルのネタニヤフ政権が出している、停戦ではなく、一時的戦闘停止で人質全員を解放するという提案をハマスに受け入れさせようとする圧力ともなる。そもそも、民衆の人道状況を悪化させてハマスに圧力をかけるという構図は、国際法が禁止する「集団懲罰」にもなりかねず、さらにイスラエル軍が民間地域への無差別攻撃で民間人を殺戮し、民間地域を破壊することで、ハマスに圧力をかけている手法とも同じで、米欧がガザ市民を犠牲にして、イスラエルを支援している構図がより浮き彫りになる。UNRWAへの支援停止で、ガザの人道危機がさらに進んだ場合、アラブ諸国やイスラム世界の反発が強まることになるだろう。

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  • 鈴木一人

    東京大学教授/地経学研究所長

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  • 三牧聖子

    同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科准教授

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コメンテータープロフィール

元朝日新聞記者。カイロ、エルサレム、バグダッドなどに駐在し、パレスチナ紛争、イラク戦争、「アラブの春」などを現地取材。中東報道で2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。2015年からフリーランス。フリーになってベイルートのパレスチナ難民キャンプに通って取材したパレスチナ人のヒューマンストーリーを「シャティーラの記憶 パレスチナ難民キャンプの70年」(岩波書店)として刊行。他に「中東の現場を歩く」(合同出版)、「『イスラム国』はテロの元凶ではない」(集英社新書)、「戦争・革命・テロの連鎖 中東危機を読む」(彩流社)など。◇連絡先:kawakami.yasunori2016@gmail.com

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