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川上泰徳

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中東ジャーナリスト

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見解ネタニヤフ氏がシンワル氏を殺害し、「ハマスがガザを支配することはない」と述べても、ヨルダン川西岸の自治政府の統治も、イスラエル軍の再占領も否定しており、シンワル氏殺害後もガザの戦後構想は何も決まっていない。ネタニヤフ首相がいう「ハマスが人質を解放すれば、安全を保証した上で戦闘員がガザから出ることを容認」とは、1982年にイスラエル軍のベイルート包囲でPLOがベイルートから退去したのと同じシナリオであるが、PLOの退去後に「サブラ・シャティーラの虐殺」が起きたことはパレスチナ人は誰もが知っている。イスラエル軍が「ハマス壊滅」と言って住民を無差別に殺戮した結果、ハマスが人質をとって戦闘を継続していることが、イスラエル軍のさらなる住民虐殺を押しとどめている状況になっている。シンワル氏という強力な政治指導者がいなくなったことで、ハマスの意思決定は混乱し、戦争終結の機会も遠ざかったと考えるしかない。

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同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

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    中東の専門家(こぶた総合研究所代表)

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  • 錦田愛子

    慶應義塾大学法学部教授

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コメンテータープロフィール

元朝日新聞記者。カイロ、エルサレム、バグダッドなどに駐在し、パレスチナ紛争、イラク戦争、「アラブの春」などを現地取材。中東報道で2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。2015年からフリーランス。フリーになってベイルートのパレスチナ難民キャンプに通って取材したパレスチナ人のヒューマンストーリーを「シャティーラの記憶 パレスチナ難民キャンプの70年」(岩波書店)として刊行。他に「中東の現場を歩く」(合同出版)、「『イスラム国』はテロの元凶ではない」(集英社新書)、「戦争・革命・テロの連鎖 中東危機を読む」(彩流社)など。◇連絡先:kawakami.yasunori2016@gmail.com

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