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錦田愛子

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慶應義塾大学法学部教授

報告

解説イスラエルは昨年の開戦以来、ハマースの殲滅と、人質の解放という二つの目標を掲げてきた。イランでのハニーヤ政治局長の殺害、ガザの軍事部門トップのダーイフ殺害に続き、シンワールの殺害で、主だった幹部がほぼ一掃され、ある意味で統率の取れた組織としてのハマースの壊滅には近づいた形だ。他にも彼らに準じる立場の幹部が多数これまで殺害されてきており、後任選びは困難な状況だろう。 戦略的には、これで次の目標である人質の解放を達成できれば、いつでもイスラエルは戦争を終わらせらる状態といえる。だが先行きは不透明だ。穏健派のハニーヤ殺害以降、実質的な人質解放交渉は頓挫しており、軍事作戦では数名程度の奪還を何度か成功したに過ぎない。幹部殺害の前に譲歩を引き出せなかったことが、人質の生還の可能性を低くする恐れもある。 アメリカは本来であればこの段階で終戦を促すべきだが、大統領選を目前に控え外交能力には期待できない。

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コメンテータープロフィール

専門はパレスチナ/イスラエルを中心とした中東地域研究、移民/難民研究。東京大学法学部卒業、同法学政治学研究科修士課程修了、総合研究大学院大学文化科学研究科博士課程修了、博士(文学)。早稲田大学イスラーム地域研究機構研究助手、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所准教授等を経て、現職。ベイルート・アメリカン大学客員研究員、ヘブライ大学トルーマン研究所客員研究員、ロンドン大学東洋・アフリカ研究学院客員研究員などを歴任。単著に『ディアスポラのパレスチナ人―「故郷(ワタン)」とナショナル・アイデンティティ』、編著に『政治主体としての移民/難民――人の移動が織り成す社会とシィティズンシップ』など。

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