解説テロ組織でも反乱軍でも革命勢力でもいいのですが、軍事的な行動の動機付けは「政治目的の達成」であり「個人的な憎しみや恨みを晴らす」ではないと教化するのがまともな運動として成功する最低限の資質です。一国の政治目標が「恨みを晴らす」となると、その政府やそれに投票した有権者の資質が問われます。一方、当事者間の実力の差に鑑みれば、シンワール政治局長が短期間のうちに死ぬというのは予想の範囲内なので、これが各国の反応にみられるような楽観的展開の契機になる保証は全くありません。むしろ、現場で指揮を執るべき有力者を殺し過ぎて、統制が効かないまま捕虜がどんどん死んでいくとか、「停戦」の交渉も決定もできない相手からの攻撃が際限なく続くという展開になる可能性の方が高いように思えます。
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コメンテータープロフィール
新潟県出身。早稲田大学教育学部 卒(1998年)、上智大学で博士号(地域研究)取得(2011年)。著書に『現代シリアの部族と政治・社会 : ユーフラテス河沿岸地域・ジャジーラ地域の部族の政治・社会的役割分析』三元社、『「イスラーム国」がわかる45のキーワード』明石書店、『「テロとの戦い」との闘い あるいはイスラーム過激派の変貌』東京外国語大学出版会、『シリア紛争と民兵』晃洋書房など。
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