斎藤元彦兵庫県知事「運動買収」か 公選法違反ならまた失職&また選挙も SNS戦略への有償依頼疑惑拡大
斎藤元彦兵庫県知事が再選された選挙戦中、県内のPR会社に報酬を支払ってSNS戦略を依頼したとされる疑惑が拡大し続けている。公選法違反の「運動買収」に当たれば斎藤氏は失職。次点が繰り上がるのではなく、18億円かかると批判された県知事選が再び行われることになる。斎藤氏は23日、日本テレビ系「ウェークアップ」に録画出演。疑惑への言及はなかった。 疑惑はPR会社の女性社長が20日、SNS上に「斎藤陣営で広報全般を任せていただいていた立場として(選挙戦の)まとめを残しておきたい」と始まる文章、写真、図解を投稿したことから炎上。「報酬を支払ったなら公選法違反ではないか」の指摘が相次いだ。 社長は22日までに投稿の一部を削除するなど改訂。「オフィスに現れたのは斎藤元彦さん。それが全ての始まりでした」「私の提案を真剣に聞いてくださり、広報全般を任せていただくことになりました」の文章と、投開票日の17日まで3段階に分けたSNS運用計画の図解を削除した。斎藤氏の弁護士はSNS戦略の依頼は否定し「依頼は法で認められたポスター製作などで相当な対価は支払っている」としているが、SNSは「削除が疑惑をさらに深めた」との声がやまない状況だ。 はたして斎藤氏に捜査の手が伸びることはあるのか。元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は「県警か地検が動くか、誰かが告発するか。このまま何もないということはないのではないか」と起訴の可能性があることを示唆。「ポスター製作代としてお金を支払ったのは認めている。授受された額がポスター製作の範疇(はんちゅう)を超えたものかが問題。金額が大きければ起訴され裁判となり、禁錮刑も考えられる」と指摘した。 買収は公選法違反の中でも悪質とされ「起訴されれば、少なくとも罰金刑にはなるのではないか。その場合、公民権停止となり、また県知事選が行われる」という。斎藤氏側が選対本部の誰かがやったと主張することも考えられるが「責任ある立場の人がお金を払っていれば、連座制で斎藤氏にも責任が及び、失職となる」という。 斎藤氏が独りぼっちで始めたとする選挙戦。大逆転を呼んだSNSの熱狂は金で買ったものだったのか。斎藤氏再選で決着したと思われた兵庫県知事選はまだ波乱がありそうだ。 ▼公職選挙法 政治家が有権者に金品を与えて投票や、選挙運動を依頼することを買収行為として禁止している。選挙の有無に関係なく、食事などの提供も制限されている。買収行為はした者もされた者も3年以下の懲役か禁錮、または50万円以下の罰金に処される。選挙の立候補者が買収した場合は4年以下の懲役か禁錮、または100万円以下の罰金となり、刑が確定すると当選無効に。また実際に支払っていなくても、約束しただけで違反となる。 ≪“訴訟合戦”稲村氏も奥谷氏も≫兵庫県知事選を巡っては“訴訟合戦”になっている。次点だった元尼崎市長の稲村和美氏の後援会が、選挙期間中に公式X(旧ツイッター)アカウントが2回凍結されたことについて、何者かがX管理者に一斉にうその通報を行ったとして、容疑者不詳で偽計業務妨害容疑などの告訴・告発状を兵庫県警に提出した。また、斎藤知事の問題についての百条委員会委員長の奥谷謙一氏は、政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏にネットで「告発文書を作成した県元幹部が死亡した原因を隠した」などと虚偽の情報を投稿されたとして、名誉毀損(きそん)容疑の告訴状を県警に提出している。立花氏も奥谷氏を提訴する意向を示している。