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伊藤さゆり

伊藤さゆり

認証済み

ニッセイ基礎研究所 経済研究部 常務理事

報告

補足GDPデフレータの分析を基に企業がコスト上昇分を上回る価格転嫁をし、利益を確保したことが、インフレ押し上げ要因となった。 この現象は、英語の強欲とインフレを組み合わせた造語「グリードフレーション」が生まれるほど、欧米で問題となりました。 特に、労働市場が硬直的で、賃金と物価のスパイラルへの警戒が強いユーロ圏では、ECBが企業が賃金コスト上昇分をフルに価格転嫁するのか、平時より高い水準にある利益率を削って吸収するのかを見極めることを、金融引き締め策修正の要件としているほどです。 日本では、統計が示す高水準の企業収益という実感が、地方や中小・零細企業には行き渡っていないことを感じます。企業規模に関わらず、適切な価格転嫁ができ、利益と賃上げの原資を確保できるようにならなければ、内需の自律的な回復は望めません。

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同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 永濱利廣

    第一生命経済研究所首席エコノミスト

    見解こうした傾向は他の統計からも垣間見えます。 というのも、昨年度の企業収益は大企業を中心に過去最高を更…続きを読む

  • 今野晴貴

    NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。

    見解企業が利益を増やすために物価高騰に便乗して値上げする「強欲インフレ」は世界的な現象だ。IMFの調査で…続きを読む

コメンテータープロフィール

伊藤さゆり

ニッセイ基礎研究所 経済研究部 常務理事

1987年早稲田大学政治経済学部卒。2005年同大学大学院商学研究科修士課程修了。日本興業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)を経て、2001年ニッセイ基礎研究所入社。2023年より現職。早稲田大学商学学術院非常勤講師(2015年度~)、経団連21世紀政策研究所研究委員(2017年~)、グローバル・フォーラム「欧州政策パネル」メンバー(2019年〜)など兼務。近著に、『EUと新しい国際秩序』(日本評論社、共著)、『沈まぬユーロ』(文眞堂、共著)

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