解説中国製EVへの制裁関税を巡っては、世界的自動車メーカーを有する独仏で意見が対立、仏はEV関税に積極的、独は消極的立場です。 背景には、独メーカーの方が、中国市場でより多くのシェアを獲得してきたので、中国が対抗措置に動いた場合の潜在的な不利益が大きいことがあります。 中国に対して、制裁措置を課せば、確実に中国も対抗措置を講じる見通しです。 中国はフランスにはブランデーを、ドイツには大排気量の自動車を対抗措置の手段とする可能性を示唆し、揺さぶりをかけています。 EUは近年、中国を念頭に競争条件の公平化を図るための新しいルールを整備しました。 専門家の間でも、EUは新しく獲得した手段を積極的に活用すべきとの声と、手段の獲得は抑止を目的とすべきで、実際に発動して対立のエスカレートを引き起こすべきではないとの声があります。 議会選後の結果公表が政治的な判断であった可能性はあると思います。
コメンテータープロフィール
1987年早稲田大学政治経済学部卒。2005年同大学大学院商学研究科修士課程修了。日本興業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)を経て、2001年ニッセイ基礎研究所入社。2023年より現職。早稲田大学商学学術院非常勤講師(2015年度~)、経団連21世紀政策研究所研究委員(2017年~)、グローバル・フォーラム「欧州政策パネル」メンバー(2019年〜)など兼務。近著に、『EUと新しい国際秩序』(日本評論社、共著)、『沈まぬユーロ』(文眞堂、共著)
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