補足多くの記事で「インバウンドのせいでコメが品薄になった」としていますが、2024年7月末時点の農林水産省の試算ではインバウンド需要は昨年から3.1万トン増の5.1万トン。2024年のコメの需要は2023年と比べて11万トン多く、702万トン。この中にインバウンド需要の5.1万トンが含まれ、インバウンド需要は全体の0.7%です。 コメ問題に詳しい関係者に聞いたところ、品薄に対するインバウンドの影響は限定的で、コメ政策の失策、つまり需給バランスを取ることばかりに気を取られ、長期的な視野に立ってコメ政策に取り組んでこなかったことが今の事態をもたらしていると語っています。 したがって「もうすぐ新米が出てくるから足りるようになるから大丈夫」という短期的な考え方ではなく、中長期的な視点に立って、食料安全保障の観点からコメの需要を満たすことや生産者の利益を担保することを考えるべきではないでしょうか。
コメンテータープロフィール
奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け、誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力した。著書に『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ』『捨てないパン屋の挑戦』他。食品ロスを全国的に注目させたとして食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。https://iderumi.theletter.jp/about