売り切れ続出、価格高騰、ひとり1点の購入制限......。品薄で悲鳴!! コメはどこへ消えたのか?
売り切れ店が続出し、在庫があっても購入制限付き。最近「コメ不足」のニュースが大きく報道されている。なぜ、こうなったのか? いったい、いつまで続くのか? 消えたお米の謎に迫った! 【グラフ】日本のコメの収穫量の推移 * * * ■精米ロス、米食シフト、インバウンドが原因!? コメ不足が深刻化している。スーパーのお米コーナーでは棚が空っぽになっていたり、あったとしても「ひとり1点」の購入制限がかかっていたりする。 東京都練馬区のスーパー「アキダイ」の秋葉弘道社長に現在の在庫状況を聞いた。 「去年産のお米は終売で底を突いているし、新米もまだそろっていません。今は在庫が非常に少ない状態です。お店から3種類のブランド米を注文しても2種類しか入ってこなかったり、その2種類も半分の量だったりしています。 また、入荷したお米も店頭に並べると数時間で売り切れます。問屋さんがお昼に持ってくると夕方までにはなくなっています」 やはり、まだコメ不足は続いているのだ。では、なぜコメ不足になっているのか? コメが消えた理由を『減反40年と日本の水田農業』『米生産調整の経済分析』(共に農林統計出版)などの著書がある日本国際学園大学の荒幡克己教授に解説してもらった。 「コメ不足の理由は3つあります。まず、日本はこの20年ほど、人口の減少やパン、麺などを主食として食べる食の多様化で、毎年10万tずつお米の消費量が減ってきました。そのため、昨年の収穫の見通しを立てるときにも例年と同じように収穫量を10万t減らしました。 しかし、今年は逆に消費量が10万tほど増えていて、プラスマイナスで20万tほどの差ができています。その大きな理由が外国人観光客の増加です。外国人観光客が『せっかく日本に来たのだから』と海鮮丼や天丼などのご飯物を食べて、たくさんのお米を消費しました。 ふたつ目が、精米時のロスです。作況指数という収穫量を表す数字があり、例年どおりにお米が取れると100となりますが、昨年はこれが101でした。例年と同じくらい取れたということです。 ところが昨年の夏はものすごく暑かった。そのため生育が悪く、通常の米粒は透明感があるのに、中が白く濁ってしまったんです。こういう未熟米は精米するときに砕けやすい。 ですから、農家は例年と同じように取れたと感じていますが、実際は流通して精米する段階で減ってしまった。このロスが9万tくらいあるといわれています。 3つ目が、パンなどの値上がりです。ウクライナ戦争などの影響で、小麦粉の世界相場が上がっています。すると、お米自体が値下がりしたわけではないのに割安感が出て、お米への消費シフトにつながりました。 この3つの理由で、コメ不足になっているのです」