補足2005年のパティシエの世界大会で、自国らしい素材を使うデザ―トの課題に日本チームがわらびもち風の物を入れた際、審査員の評価が分かれ、こういう食感はヨーロッパでは好まれないと厳しい声が聞かれた。だがアジアには日本と相通じる餅文化があり、あの食感が喜ばれ、延びる余地があったと考えられる。ところで「名古屋では、わらびもちが夏の銘菓」とあるが、本物のわらび粉を扱っている和菓子店や茶道の嗜みがある方ならば、わらびもちは本来、春に作られる菓子だと違和感を覚えるだろう。冷やして食べると誤解されていることもあるが、冷やすとでんぷん質が硬くなるため、きちんとした店ならば冷蔵庫には入れないよう勧めてくれる。舌触りや喉越しのよさ、さらにドリンクにするなどで最近は夏向けにも受け入れられているが、先人の生活に根差した本来の食文化を理解したうえで、「あえてこのようにアレンジした」と発信していくことが必要だと感じる。
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コメンテータープロフィール
マーケティング会社勤務を経て、製菓学校で菓子の基礎を学び、スイーツジャーナリストとして独立。月200種類以上の和洋菓子を食べ歩き、各種媒体で発信。商品開発コンサルティング、イベント企画や司会、製菓学校講師、コンテスト審査、スイーツによる地方活性化支援など幅広く活動。スイーツ情報サイト「幸せのケーキ共和国」主宰。「All About」スイーツガイド、「おとりよせネット」達人、日経新聞のランキング選者等も務める。著書『東京最高のパティスリー』(ぴあ)、『まんぷく東京レアもの絶品スイーツ』(KADOKAWA)、監修『厳選スイーツ手帖』『厳選ショコラ手帖』(共に世界文化社)等。
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