韓国大統領の逮捕状の期限延長申請、泥沼化する「公権力」対「公権力」 #専門家のまとめ
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する逮捕状の期限を迎えた6日、合同捜査本部は逮捕状の期限延長をソウル西部地裁に申請した。合同捜査本部は今月3日に逮捕状執行に臨んだものの、大統領警護処や軍関係者ら約200人が構築した「人の壁」に阻まれ、断念した経緯がある。合同捜査本部が再び、尹大統領の身柄確保に乗り出す意向を宣言した形で、裁判所が再度、逮捕状を発付するか、判断が待たれる。
ココがポイント
エキスパートの補足・見解
尹大統領に対する逮捕状は7日午前0時に失効するため、合同捜査本部は出直しを図る。
1回目の執行時、合同捜査本部側は計150人を投入したが、警護処側200人余りとの間で衝突が発生し、執行を中止した。警護処が陸軍大統領直属部隊の兵士らも動員する一方、合同捜査本部も警察特殊部隊や刑事機動隊の投入も検討したため、現場は緊迫した状態が続いた。
合同捜査本部側は次回、大幅に人員を増やす考えだ。執行を妨害する警護処職員を現行犯逮捕する案も検討している。ただ、合同捜査本部側も必ずしも一枚岩ではなく、「高捜庁は警察をあたかも『下請け業者』のように扱っている」(尹大統領側弁護団)ようにも映る。
一方、警護処は鉄条網の設置など、防御態勢を強化する姿勢を鮮明にしている。また尹大統領側は「高捜庁による捜査そのものや逮捕状請求、執行のすべての手続きが違法だ」として、執行に関与した高捜庁長ら7人を特別公務執行妨害などの容疑で告発し、法的対応を進めている。
尹大統領逮捕を試みる合同捜査本部、それに抗う警護処など大統領側布陣。「公権力」対「公権力」の攻防は、まさに国の分裂を象徴している。