Yahoo!ニュースこの1年の取り組み
Yahoo!ニュースは、日々コンテンツパートナーの皆さま(以下、パートナー)から配信いただく数千の記事をユーザーにお届けしています。ここでは、信頼されるサービスを目指して注力した施策を紹介します。
2022年のYahoo!ニュース
Yahoo!ニュースは「課題解決と行動につながるニュースを伝える」をミッションに掲げており、ユーザーの皆さまから信頼をされる場でありたいと考えています。「公共性と社会的関心が高い情報」や「多様な言論」が健全な形で流通することを重視し、安心してご利用をいただけるサービスを提供できるよう努めてまいります。
2022年も国内外で大きな出来事がありました。社会的影響の大きい出来事に対して、引き続き迅速かつ正確な情報を届けることに取り組みました。
一方、メディア環境の公益性に寄与するために、ユーザーが偽情報・誤情報に騙されないようネットリテラシーの向上につながる施策を行っています。コメント欄においてはユーザーの皆さまに安心してお使いいただけるよう、継続して健全化に取り組みました。
媒体数・記事本数
情報提供元メディアは約689媒体で、毎日約7,500本の記事を配信いただいています(2022年11月時点)。
1. 有事に迅速な対応
ロシアによるウクライナ侵攻
「情報戦」を慎重に伝えた
2022年2月に勃発したロシアによるウクライナへの軍事侵攻に関して、特設ページを開設しました。侵攻当初は国内の情報提供元メディアに加えて、英BBCからニュース映像の提供を受け、CNNやAFPなどの海外メディアからもたらされる記事を連日掲載。編集メンバーで重要と判断したSNSアカウントやYouTube動画なども掲載しています。今回の出来事は「情報戦」とも呼ばれたことから、どこが報じた情報なのか。誰が話していることなのか。一つの情報に対し、複数メディアの報道を比較して吟味するなど、ニュースの取り扱いにはこれまで以上に慎重を期しました。
起きている事象を多角的に伝えることにも注力しました。経済制裁の中身とその影響や、ウクライナとロシアの歴史的な経緯、国際安全保障の動向などを専門家のコメントなどで解説しています。2023年1月までに9000万PVのアクセスを得ました。
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電力需給ひっ迫
電力使用率を予想する「でんき予報」開始
2022年は政府から節電要請が発表されました。「電力供給」という公共性が極めて高いテーマに対し、特設ページ「電力需給ひっ迫 使用状況や節電方法」を開設しました。このページでは一般送配電事業者などと連携し、「でんき予報」の提供も行っています。「北海道」「東北」「東京」エリアを皮切りに始めた取り組みは、電力の予想使用率を「非常に厳しい」「厳しい」「安定的」など3種類のビジュアルで表現しています。
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2. 社会の課題解決・ユーザーの行動につなげる
参院選特集
ユーザーの関心を高め、それぞれの選択に寄与
Yahoo!ニュースでは、国政選挙など大きな政治イベントがある度に特設サイトを立ち上げています。2022年7月に行われた参院選でも情報発信を行い、累計1.5億PVのアクセスを得ました。ユーザーが選挙に対する関心を高め、ひいてはそれぞれの選択に寄与できるよう、サイト内でいくつもの取り組みを行っています。「#選挙のギモン」(2022年6月22日~8月9日の限定公開)ではYahoo!知恵袋で募ったユーザーの疑問に対し、総勢14名の専門家が回答しました。「期日前投票所マップ」ではYahoo! MAPの機能を活用し、ユーザーはマップをタップするだけで期日前投票所の位置・ルートを把握することができます。政党との相性診断ができる「ボートマッチ」では、ビジュアルと操作性にこだわりました。「物価高対策」「ウクライナ情勢を巡る外交」などの政策課題や争点について、ユーザーが自分の考えをもとに回答することで、自らに近い政党と候補者を確認できます。
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ホットイシュー「#性のギモン」
「性」を様々な視点で取材。社会のアップデートにつなげたい
2022年4月から「ホットイシュー」という取り組みを始めています。Yahoo!ニュースの編集メンバーが設定したイシューに対して、様々な切り口のコンテンツを展開することで、社会のよりよいアップデートにつなげていく試みです。2022年7月から「#性のギモン」というハッシュタグのもと、性教育を軸に、人間関係、ジェンダー、月経や更年期障害といった体の悩みなど、子どもから大人まで関わる「性」についてさまざまな視点で取材しています。特設サイト「みんなの性教育」を運用し、掲出コンテンツをまとめました。同サイトには、Yahoo!ニュース個人オーサー(書き手)による解説記事、情報提供元メディアからの配信記事、Yahoo!きっずの性教育サイト「ココカラ学園」、相談窓口なども集約しています。
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Yahoo!ニュース 個人10周年
55名の書き手で始まったサービスが総勢980名に成長
各分野の専門家・有識者が記事を発信する「Yahoo!ニュース 個人」。2022年9月26日、このサービスは10周年を迎えました。55名のオーサーで始まったサービスは、総勢980名を超える規模(2020年開始の公式コメンテーター含む)に成長しました。ニュース個人の記事はこれまでに12万本以上、コメントは6.8万本以上が投稿されています(ともに2022年9月20日時点)。この10年、書き手の記事執筆、コメント投稿を支援するための報酬などの還元に加えて、年間アワード、月間表彰制度の運営も続けています。
社会に大きなインパクトを与えるコメントも出ています。2012年からニュース個人に参加するジャーナリストの江川紹子さんは、安倍元首相の銃撃事件やその後の「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)に関する記事に対し、これまでの豊富な取材経験・知見に基づいた解説や見解を継続的にコメントいただきました。江川さんならではの専門性高い視点は多くのユーザーに届き、Yahoo!ニュース上だけでなく、SNS上でも話題を呼びました。
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3. テクノロジーの力で改善
コメント投稿時における携帯電話番号設定の必須化
言論空間の健全性向上に向けて
コメント欄では、24時間体制の人的パトロールやAIなどを駆使し、誹謗中傷を始めとした不適切投稿への対応を続けています。なかでも問題のある投稿を繰り返すアカウントに対しては、以降の投稿ができなくなる「投稿停止措置」を適用しています。さらに2022年11月以降は、措置を受けたユーザーが別のYahoo! JAPAN IDを使い、不適切な投稿を繰り返すことを抑止するため、コメント投稿時における「携帯電話番号設定の必須化」を実施しました。
その結果、悪質なユーザーが減少(「投稿停止措置」を受けるYahoo! JAPAN ID数が56%減少)し、不適切なコメントも減少(“投稿時の注意メッセージ”の表示回数が22%減少)しました。これからも健全な言論空間を構築するために努めていきます。
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記事リアクションボタン
分析ツールのアップデートで傾向確認が可能に
「記事リアクションボタン」は、2021年夏に設置された機能です。「学びがある」「わかりやすい」「新しい視点」という3つのボタンが配信記事の下部に置かれていて、ユーザーは自らの判断をもとにいずれかのリアクションを押すことができます。情報提供元メディアから配信される記事の配信料を、既存のPVとは異なる評価に基づいてお支払いすることを意図したものです。2022年12月に情報提供元メディア向けの分析ツールがアップデートされました。3つの評価ボタンがどのぐらい押されたのか、その傾向を確認(※)できるようになりました。これによって記事制作の一層の支援につながることと、良質な記事がさらに多くのユーザーへ届くことを期待しています。
※分析ツールの閲覧は、情報提供元メディアが自身の実績を見る範囲にのみ限定されており、ユーザーの個人情報が特定されることはありません
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4. 信頼される情報空間であるために
「メディア透明性レポート」の公開
投稿削除の実績、社内運用体制などを公開
ヤフーは今年も「メディア透明性レポート」を公開しました。これまでとの違いは、「Yahoo!ニュースコメント欄」「Yahoo!知恵袋」などの投稿型プラットフォームに加え、「Yahoo!ファイナンス」も対象としている点です。
ヤフーではユーザーが個別の関心分野において意見を表明し、議論ができる投稿型プラットフォームを提供しています。これらのサービスでは、利用上のルールやガイドラインが定められていて、誹謗中傷などの不適切な投稿を禁止し、明らかな違反行為に対しては投稿削除・停止措置などをとっています。ユーザーが情報発信について過度に委縮することがないよう、バランスの取れた対策を行っていくことも必要です。そこでヤフーでは、2021年より各サービスにおける投稿削除の実績や、実施に関する社内運用体制などを「メディア透明性レポート」としてまとめ、公開しています。ユーザーや有識者からのフィードバックを、継続的な運用改善につなげていくエコシステムを構築していきたいと考えています。
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自殺報道対策
ユーザーへの影響を重視し、慎重な対策を
近年、著名人に関する自殺報道の過熱が問題視されています。「Yahoo! JAPANアプリ」「Yahoo!ニュースアプリ」では、号外ニュースをプッシュ通知で知らせる機能があります。著名人が死去したニュースについても公共性を踏まえプッシュ通知をすることがありますが、自殺報道は、扱い方次第ではユーザーの希死念慮を誘発する可能性が世界保健機関(WHO)などで指摘をされています。そこでプッシュ通知については、多様な有識者と議論を重ねた結果、特設ページを使用してお届けすることにしました。当事者や遺族の支援策・相談先の情報だけでなく、訃報への向き合い方などを掲載します。
Yahoo!ニュース トピックスではWHOの手引きなどを参考にしながら、見出しで自殺という点を強調し過ぎないなどの取り組みを行い、情報提供元メディアの皆さまには自殺の手段や場所の明記、自殺や自傷行為を誘発、助長するおそれのある記事などは入稿しないようお願いしています。
中長期的な問題への理解を深めるため、毎日新聞の元編集編成局長で、現在はNPO法人ライフリンク職員の小川一さんにインタビューをし、Yahoo!ニュースのオウンドメディア上で記事公開をしています。国内での自殺報道はどのような変遷をたどってきたのか。また、プラットフォーマーやメディアに期待することなどをうかがいました。
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「マスコミ倫理懇談会全国協議会」における活動
メディア業界で議論喚起
「マスコミ倫理懇談会全国協議会」は、例年全国大会を開催しており、報道各社が一堂に会します。2022年は9月に盛岡市で開かれ、94の企業・団体、リアルとオンライン合わせて300人を超える関係者が参加しました。新型コロナ、東日本大震災の報じ方、実名報道のありようなど様々なテーマを扱う分科会が開かれ、Yahoo!ニュースはインターネット上の報道をめぐる諸課題を考える分科会に参加し、「健全な情報空間の実現に向けた取り組み」と題して発表しました。また、同協議会の11月に開かれた勉強会では「見出しが大げさで煽っていると感じられる記事」「見出しと本文内容が合致していないと感じる記事」など、見出し問題を含む「アテンションエコノミー」に関して議論喚起をしました。これらの問題はユーザーの信頼低下を招く恐れがあることから、情報提供元メディアと協働して解決を図っていきたいと考えています。
11月19日には「メディア学会」の秋季大会のワークショップにお招きいただきました。ここでも、ユーザーや情報提供元メディアの皆さまとともに、信頼される情報空間を作っていくために取り組む施策を発表し、参加された方々と意見交換をさせていただきました。
5. 情報リテラシー向上に向けた取り組み
Yahoo!ニュース健診
情報の判断力をクイズで向上
ユーザーが偽情報や誤情報などの情報に惑わされず、ニュースを正しく理解するための学習コンテンツを期間限定(2022年2月28日~5月19日)で公開しました。監修は当該分野の専門家である平和博氏。ユーザーが気軽に楽しみながら情報の判断力を向上できるよう、“健康診断”をイメージした構成にするなど、ビジュアル面で工夫を凝らしました。情報の判断力を「読む力」「確かめる力」「共有する力」の3種類で定義し、計9問のクイズを出題しています。コンテンツ公開から2ヶ月で参加者は10万人を突破するなど、ユーザーから高い関心を得ました
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あなたは大丈夫? 選挙で気をつけたいネットリテラシー
誤った情報の拡散に警鐘を鳴らす
様々な情報が飛び交ういま、なかには偽情報、誤情報やデマもあると指摘されています。そこでYahoo!ニュースでは、2022年7月の参議院選挙に合わせて「ファクトチェック」をテーマとした特設サイトを立ち上げました。デマに騙されないための具体的なチェックリストにはじまり、過去の国政選挙、首長選挙でファクトチェックした実例などを紹介しています。解説動画を3つ用意し、情報収集しているうちに自分と似た意見・考えばかりに囲まれてしまう「フィルターバブル」の危険性や、誤った情報を拡散することで生じるリスクに警鐘を鳴らしています。特設サイトは、国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの山口真一准教授に監修していただきました。また、これらのコンテンツを活用した高校、大学でのネットリテラシーの授業を志學館中高等部(鹿児島市)、鹿児島女子短大、中央大学などで実施しています。
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終わりに
Yahoo!ニュースは、今後も信頼される公共性の高い情報流通の場として、ユーザーそして情報提供元メディアの皆さまに信頼していただけるよう改善を続けていきます。