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あなたは大丈夫? 選挙で気をつけたいネットリテラシー

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誤情報に惑わされないために

選挙期間中はさまざまな情報が飛び交います。なかには真偽不明なものもあるかもしれません。偽情報、誤情報などのデマに惑わされないために、以下のような点に注意しましょう。

情報のどこを見る? チェックリスト

デマに惑わされないためには、まず情報源を確認しましょう。匿名や偽名アカウントのSNS、素性のよくわからない運営元のウェブ記事やブログの中身をうのみにするのは危険です。 またSNSやウェブ記事では引用や情報の切り抜きが盛んに行われます。目にした情報のどの部分がいつ発信されたのか、後から付け足された意見ではないか、どこまでが事実なのかを考えながら情報を見ましょう。 判断するための方法のひとつとして、公式情報や複数のメディアを見比べることが大切です。SNSやウェブサイトで複数の記事を見ることはもちろん、テレビや新聞、雑誌などインターネットに限らない幅広い媒体で確認することも必要です。

その情報は大丈夫? インターネットの特徴を知る

インターネットの仕組みは便利な一方で、得られる情報に偏りがでてしまう場合があります。自分がどのような情報を目にしているのかを把握するために、インターネットの特徴を知っておきましょう。

・特徴1 あなたの「見たいもの」ばかりが掲載されているかも? インターネットには、個人の閲覧履歴などのデータを利用し、その人に合った情報を選択して提示する機能があります。 ・特徴2 「みんなが」注目している記事ではなく「あなたが」注目している記事が掲載されているかも? ニュースサイトなどにあなたの関心がある政党や注目している候補者のニュースがたくさん表示されていませんか? それは世間の注目度が高いのではなく、あなたの注目度が高いとウェブサイト側が判断し、優先して表示している場合があります。 ・特徴3 表示順が上位であるほど情報が正確とは限らないかも? 表示される順位は、サービスの基準や個人の閲覧履歴データなどによって変わることがあります。同じウェブサイトを訪問したり同じキーワードで調べたりしても、あなたとほかの人とでは表示される結果の順番が違う場合があります。 また調べるワードによっては、掲載が上位であっても正確な情報が掲載されているとは限りません。 人には無意識に自分を正当化したいという心理があり、自分の信じたい情報を追い求めてしまう「確証バイアス」という現象があると言われています。インターネットならではの特徴があることを理解しながら、得る情報を取捨選択し、内容を吟味することを心がけましょう。

選挙におけるデマとは?

2016年ドナルド・トランプ氏が次期アメリカ大統領と決まった際の選挙戦では、多くのフェイクニュースが拡散されたと言われています。日本でも、後述のとおり2018年の沖縄県知事選や2020年の大阪住民投票で多くの偽情報などが発見されて話題になりました。政治的な偽・誤情報を知った人のうち約80%(5人に4人)は誤っていると気づいていなかったという結果があり(※1)、多くの人が正しい判断をできず、選挙結果や重要な意思決定に影響を与えてしまうことが指摘されています。また米国の研究では情報の真偽判断能力を過信している人ほど騙されることが分かっています(※2)。私たち一人一人が情報に接する際に注意を心がけ、適切に判断する必要があります。

選挙時のデマにはいくつか傾向があります。インターネットでは選挙前にニュースメディアを装ったウェブサイトが現れる場合があります。「問い合わせ窓口の記載がない」「連絡しても返信がない」など運営元が不明瞭なウェブサイトの情報は信頼性が低いかもしれません。 また政党や候補者の勢力が拮抗すると、意見の対立などが盛り上がり喜怒哀楽に直接訴える情報が増えがちです。感情的になりそうな情報ほどいったん落ち着くことが大切です。 前述のとおり、人は自分の見たい情報ばかり見る傾向があります。そして自分の考えと同じであれば、間違った情報も信じやすいため、他の情報もないか意識しましょう。

2018年沖縄県知事選

2018年の沖縄県知事選では、実態と異なる「A候補の政策の文字数は2.2万字、B候補は約800字」といった偽情報をはじめ、特定の候補者を批判するウェブサイトや攻撃する内容がSNSで拡散され、デマや不確かな情報が多く出現しました。新聞社などのメディアが、選挙期間中に初めて社会に広がった言説や情報の真偽を検証するファクトチェックを実施したことも話題になりました。

2020年大阪住民投票(大阪都構想)

政令都市の大阪市を廃止し、4つの特別区に再編する「大阪都構想」の賛否を問う住民投票が2020年に行われました。賛成派と反対派が拮抗するなかで、「特別区になると消防車の到着時間は早くなる(賛成派)」や「都構想のコストは総額1340億円(反対派)」といった誤情報や不正確な情報が発信されました。複数の新聞社が、社会に広がった言説や情報の真偽を検証するファクトチェックを行っています。

2022年参議院議員通常選挙

2022年7月10日に行われた第26回参議院議員通常選挙では、ファクトチェック記事をまとめた特設サイトがFIJ(ファクトチェック・イニシアティブ)により公開されました。嘘か本当かわからない情報の真偽を検証しています。

動画で解説 情報への心構え

選挙の“フェイク”に備えるために〜フィルターバブルと確証バイアス〜

2018年沖縄県知事選で起きた内容をもとに、「フィルターバブル」と「確証バイアス」について動画で解説します。(2022/06/20 視聴時間:約8分)

ファクトチェックと情報リテラシー ~事実を確かめるための基礎知識と心構え~

ジャーナリストの古田大輔さんが、ファクトチェックとは何か、そして私たちができるファクトチェックについて紹介。国際大学准教授の山口真一さんは、情報を見極める力、リテラシーを身につけることの重要性を解説します。(2022/09/06 視聴時間:約11分)

情報偏食と吟味思考 ~情報を読み解き、見極めるために~

東京大学教授の鳥海不二夫さんが情報空間の特性を解説。さらに、長年リテラシーの学びを実践してきた白鴎大学特任教授の下村健一さんが情報を見極める手法について紹介します。(2022/09/06 視聴時間:約10分)

うっかり法律違反をしないために

違反です! 選挙期間中にやってはいけないこと

公職選挙法は、じつは立候補者や政党関係者以外の有権者にとっても無関係ではありません。デマの発信に対する定めや、選挙運動について決まりがあり、違反すると1年以下の禁錮または30万円以下の罰金に処せられることもあります。「うっかり違反」にならないよう注意しましょう。 選挙運動とは…「特定の選挙について、特定の候補者の当選を目的として、投票を得または得させるために直接または間接に必要かつ有利な行為」とされています。

情報を拡散する前に

「デマ拡散」で法的責任を問われることも

デマを発信すると、場合によっては法律で罰せられることもあります。そのひとつが名誉毀損(きそん)罪です。公の場で具体的な事実をあげて他人の社会的評価をおとしめることを指し、あげられた事実の内容が虚偽である場合には罰せられることがあります。その場合、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金に処せられます。また選挙に当選させない目的で、候補者や候補者になろうとする者に関し虚偽の事実を公にしたり、事実をゆがめて公にした場合、4年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金が処せられることがあるほか、選挙権および被選挙権が停止されてしまいます(虚偽事項公表罪、公職選挙法)。 これらに加えて、名誉毀損による民事責任が問われることもあります。自らデマを発信するのではなく、SNSなどで拡散するだけでも責任が問われた事例もありますので注意が必要です。「罪になるとは知らなかった」「デマと見破れなかった」そんな事態を防ぐために、家族や友人・知人からの情報であっても、ネットに書き込んだり拡散したりする前に一度立ち止まって考えてみましょう。

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