早稲田大学・齋藤直人、W杯日本代表落選に何を思ったか。【ラグビー旬な一問一答】
昨季は日本代表予備軍のジャパンAで活躍した早稲田大学の齋藤直人キャプテンは、8月29日、心を新たにした。
その日はワールドカップ日本大会に挑む日本代表の登録メンバーが発表されていた。齋藤の名はなかった。本人は何を思ったか。
8月31日、長野・サニアパーク菅平。関東大学対抗戦Aの日本体育大学戦に68―10で勝利後、取材に応じる。まずは、持病のヘルニアで離脱していた5月以降の思いについて。
以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。
――雌伏の時、どう過ごしていましたか。
「サントリーに行かせてもらった時、(周りの選手は)準備という面でしっかりケアなどをしていて。一時期は自分も(手本として)やっていたんですけど、少しおろそかになっていた。そういう部分を見直せたと思いました。(知人が尽力して治療環境を紹介されるなど)本当に色んな方にお世話になって、恩返しをする意味でも思い切りプレーをしたいです」
スクラムハーフを務める齊藤は、グラウンドの端から端まで走る運動量、パスのスピードと飛距離、ゴールキックも任されるキッキングスキル、スペースの攻略を支える判断力、防御力と各種領域で際立つ。謙虚な資質でも知られ、「注目されるのは嬉しいですけど、注目されるから努力するんじゃない。うまくなりたいから、努力する」と話す。
2018年春には、日本代表予備軍にあたるナショナルデベロップメントスコッドに帯同する。「ジャパンA」の一員として、国際リーグ・スーパーラグビーのクラブの若手勢と対戦し、活躍。昨年は一時ラグビーワールドカップトレーニングスコッドという候補群に名を連ねていた。
しかし、今年の候補合宿などではお呼びがかからず。一時は現場へ訪問するなどアプローチは試みたが、5月以降は腰の治療に専念せざるを得なかった。
――8月29日、ワールドカップ日本大会に臨む日本代表のメンバーが発表されました。
「発表の日に思ったことがあって。去年(ジャパンAやトレーニングスコッドに)は選ばれたこともあっていつでも準備しようと臨んでいたんですけど、怪我もあって、日に日に(日本代表が)遠い存在になって、発表があった日に『常に高みを目指すというの(思い)が、ここ最近なかったな』と。現実的に厳しかったのかもしれないですけど、悔しかった。上を意識したうえで成長するという意欲を忘れていました。4年後。いまから狙いたいです。
発表のメンバーを見て、カッコいいと思いました。去年はそれを本気で目指していたんですが、それ(高みを目指す思いを失いかけていたこと)に気づいた時、不甲斐なさを(感じた)。常に準備していなきゃ…と。春は怪我など色々あったんですけど、そういうところを目指したうえでの成長する意欲がなかった」
――今年の春には、三井大祐前コーチからの助言を受けて「選ばれる、選ばれないよりも目の前の練習、試合を全力でおこなうことにフォーカスしよう」と意識していたような。それはそれで間違ってはいないと感じますが。
「春シーズンに成長する意欲がなかったわけではないですが、上を見て、成長しなきゃなと」
腰については、「体調は万全の状態です。自分は出していただく時間内、全力でやるだけです」。見据えるのはチームの日本一と、「4年後」にあたる2023年のワールドカップフランス大会だ。