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桑田佳祐、世良公則、back number、吉田拓郎…紅白歌合戦『特別企画』を大胆予想!

スージー鈴木音楽評論家、ラジオDJ、小説家
第73回NHK紅白歌合戦ウェブサイト

 さる11月16日、NHK『紅白歌合戦』の出場者が発表され、ご承知のように、かなり辛辣な反応が飛び交っています。

 55歳の音楽評論家である私自身としても、正直言いたいことはありますが、筋金入りの紅白ファンとしては、よく知らない音楽家を楽しむのも紅白の醍醐味だと思いますし、そもそも1億人全員が納得する人選などあり得ない。

 また、ここ数年の紅白は、いわゆる「特別企画」の方に重心が寄せられているので、16日の発表であれこれ言うよりも、むしろ今後発表される「特別企画」の人選に期待という気分でいます(特別企画については、氷川きよしのみ発表済)。

 というわけで、本記事では大胆にも「特別企画」の予想をしてみます。最初に断っておきますが、下記は、ある程度の状況証拠を基にしながらも、基本、私の純粋な予想(妄想)であり、つまりは、現実となる確証などありません。

 ただ、紅白好き、音楽好きならば、こういう予想は純粋にとても楽しいので、同好の士の方は、ご自身でも予想することをおすすめします。

 その前に、すでに出場が決定した「ウタ」について。「ウタ」とは、映画『ONE PIECE FILM RED』の主役級キャラクターである歌姫の名前で、実際に歌っているのは『うっせぇわ』で知られるAdo。

 「アニメのキャラクターが紅白歌手として出場するのは、紅白歌合戦史上初」ということもあり、ウタのパート全体が「特別企画」的な扱いになるのではないかと予測しています。

 歌うのは、まずは『新時代』ということになるのでしょうが、「特別企画」的に、もし数曲歌えるチャンスがあるなら、私としてはぜひ『世界のつづき』を披露してほしいと思うのです。

 その素晴らしさは、この記事にも書いたのですが、1番だけでもいいので、この動画で聴いていただきたい。まさに「7色の声」。NHKホールに生歌が響き渡ったとしたら、視聴者を圧倒すること間違いありません。

(1)『時代遅れのRock'n'Roll Band』

 さて、ここから「特別企画」予想。まずは「桑田佳祐 feat. 佐野元春, 世良公則, Char, 野口五郎」名義の『時代遅れのRock'n'Roll Band』。

いま紅白に、歌にできる事とは何か?/パンデミック、軍事侵攻 そして相次ぐ自然災害/私たちは皆、明るい未来を見通せない不安に満ちた時代を生きています

 これは、出演者の話に比べて、あまり触れられてはいませんが、今回の紅白のテーマ「LOVE & PEACE」説明文からの抜粋です。かなり突っ込んだ内容になっています。

 テーマ設定に忠実な構成が行われるのなら、桑田佳祐とその同級生による、このプロジェクト、この曲は、かっこうの「特別企画」になることでしょう。

 桑田佳祐は、6月21日放送の『クローズアップ現代』に出演し、このプロジェクトを紹介した後、ボブ・ディラン『風に吹かれて』の見事な日本語バージョンを披露しました。NHKへの貢献も十分だと思います。

(2)『NHK大阪スペシャルメドレー』

 現在放映中のNHK大阪制作朝ドラ『舞いあがれ!』の主題歌を歌うback numberの出場が発表されなかったことで、こんな記事もアップされました→「back number」の“紅白落選”にファン衝撃「朝ドラの主題歌なのに?」「特別枠かな?」

 そういえば、NHK大阪制作朝ドラの前作『カムカムエヴリバディ』も盛り上がったので、今回の紅白で『NHK大阪スペシャルメドレー』が披露される可能性も、なくはないでしょう。

・back number『アイラブユー』(『舞いあがれ!』)

・ウルフルズ『バカサバイバー』(夜ドラ『あなたのブツが、ここに』)

・森山良子&世良公則『On the Sunny Side of the Street』(『カムカムエヴリバディ』)

※なお、『カムカムエヴリバディ』の主題歌AI『アルデバラン』は昨年紅白で歌われました。

 ウルフルズ『バカサバイバー』は、朝ドラではなく、夜ドラ『あなたのブツが、ここに』のエンディングで流れたもの。あの傑作夜ドラに心打たれた視聴者は、この映像を生で観たいと思うはずです。そして世良公則は「特別企画」2つをはしごすることに。コーナー司会は上沼恵美子で。

(3)吉田拓郎『イメージの詩』

 最後は、吉田拓郎です。年内で芸能界引退の意向を表明しているので、大みそかの「特別出演」は、最高の「卒業式」になります。

 7月21日放送のフジテレビ系『LOVE LOVE あいしてる 最終回・吉田拓郎卒業SP』が「最後のテレビ出演」と報じられましたが、「卒業式」のアンコールとして、半世紀を超える芸能活動、最後の最後の日、紅白に出ることに異を唱える音楽ファンはいないでしょう。

 バックは、今年精力的に活動し、またメンバー個々も吉田拓郎と縁の深いSKYE(鈴木茂、小原礼、林立夫、 松任谷正隆)でどうでしょうか。バックコーラスとして、すでに出場が発表された、あいみょん、ゆず、そしてKinKi Kidsが入ってもいい。

 曲はデビュー曲の『イメージの詩』で。位置は大トリ。1994年の紅白における、あの『外は白い雪の夜』の圧倒的ステージを超える歴史的パフォーマンス。考えただけでもワクワクします。

 と、以上、予想(妄想)でした。繰り返しますが、実現の確証はまったくありません、が、このどれかでも実現されたら、最高だな、心より喝采を送りたいなと思うのです。

  • 『うっせぇわ』/作詞・作曲:syudou
  • 『新時代』/作詞・作曲:中田ヤスタカ
  • 『世界のつづき』/作詞・作曲:折坂悠太
  • 『時代遅れのRock'n'Roll Band』/作詞・作曲:桑田佳祐
  • 『風に吹かれて』/作詞・作曲:ボブ・ディラン
  • 『アイラブユー』/作詞・作曲:清水依与吏
  • 『バカサバイバー』/作詞・作曲:トータス松本
  • 『On the Sunny Side of the Street』/作詞:Dorothy Fields、作曲:Jimmy McHugh
  • 『イメージの詩』/作詞・作曲:吉田拓郎
  • 『外は白い雪の夜』/作詞:松本隆、作曲:吉田拓郎

音楽評論家、ラジオDJ、小説家

音楽評論家。ラジオDJ、小説家。1966年大阪府東大阪市生まれ。BS12『ザ・カセットテープ・ミュージック』、bayfm『9の音粋』月曜日に出演中。主な著書に『幸福な退職』『桑田佳祐論』(新潮新書)、『EPICソニーとその時代』(集英社新書)、『平成Jポップと令和歌謡』『80年代音楽解体新書』(ともに彩流社)、『恋するラジオ』(ブックマン社)、『サザンオールスターズ1978-1985』(新潮新書)、『1984年の歌謡曲』(イースト新書)など多数。東洋経済オンライン、東京スポーツなどで連載中。2023年12月12日に新刊『中森明菜の音楽1982-1991』(辰巳出版)発売。

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