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WWE王者兼現役NFL選手のグロンコウスキーのベルト防衛戦相手は現役NBA選手???

三尾圭スポーツフォトジャーナリスト
NFLに現役復帰したWWE24/7王者のロブ・グロンコウスキー(三尾圭撮影)

 青コーナー、挑戦者、256ポンド(116キロ)、216センチ、スイス・チューリッヒ出身、エネス・カンターーーーーー。

 赤コーナー、WWE24/7チャンピオン、145ポンド(111キロ)、198センチ、ニューヨーク出身、ロブ・グロンコウスキーーーーー。

 世界最大のプロレス団体WWEは18ものチャンピオンを認定しており、タッグチーム王者を含めると23人の現役チャンピオンが存在する。

 ヘビー級世界王者、女子王者、タッグチーム王者、クルーザー級王者、UK王者などがあるが、その中でも一風変わったチャンピオンベルトが、ロブ・グロンコウスキーが保持する24/7ベルトだろう。

WWE公式サイトのチャンピオン一覧には、24/7チャンピオンとしてロブ・グロンコウスキーが紹介されている(WWE公式サイトより)
WWE公式サイトのチャンピオン一覧には、24/7チャンピオンとしてロブ・グロンコウスキーが紹介されている(WWE公式サイトより)

 WWE公認レフリーさえいれば、1日24時間、週末も祝日も関係なく1週間毎日7日間ーーすなわち、いつでもどこでも誰でもーー挑戦者の資格があり、王者の交代が激しいのが24/7チャンピオンだ。1日に9回も王者交代したケースや、サンタクロースが王者になったケースもある(サンタクロースは戸澤陽が新チャンピオンとなった数十分後に戸澤からベルトを奪取)。

 現在のチャンピオン、グロンコウスキーはホスト役を務めた今年のレッスルマニアで、盟友のモジョ・ローリーにフォール勝ちして新チャンピオンに輝いた。

グロンコウスキーはレッスルマニア後にNFL復帰を発表。NFLの移籍関連のニュースを誰よりも早くすっぱ抜く辣腕記者のイアン・ラポポート記者も「WWE24/7王者のロブ・グロンコウスキーは、バッカニアーズでプレーするためには王者を返還しないといけないのか?」と興味を寄せている。

 WWEはグロンコウスキーのNFL復帰を祝いながらも、「24/7タイトルのルールで、グロンク(グロンコウスキー)はいつでもどこでもベルトを防衛する義務がある。トム・ブレイディからのタッチダウンパスを捕って喜んでいるときでも…いつでも、どこでも」と王者にタイトル防衛の義務を念押ししている。

 これを受けてグロンコウスキーは、「俺はWWE24/7のチャンピオンで、全員が俺のベルトを狙っている。スタジアムのあらゆる場所の多くの警備員を配置したいが、警備員にも狙われるかもしれない。いつでも誰でも挑戦できるので、気をつけないと。今は外出自粛なので、誰も俺からベルトを奪えない」と移籍先のバッカニアーズの公式ツイッターで発言。

 グロンコウスキー自らのツイッターではなくチームの公式ツイッターで発言したことで、バッカニアーズの練習中にブレイディがグロンクからベルトを奪うこともありえるのかもしれない。

 WWEは当初、夏の祭典である「サマースラム」でグロンクの防衛戦を計画していたとの話もあり、対戦相手には元24/7王者で現役NBA選手のエネス・カンターの名前が浮上している。

 スイス出身のカンターは、NBA引退後にはプロレスラーに転向したいと公言するほどの熱烈なプロレス・ファンで、昨年9月には一瞬だけ24/7の王者にもなった。

 今年のサマースラムはボストンのTDガーデンにて開催が予定されているが、カンターは今季からTDガーデンを本拠地にするボストン・セルティックスでプレー。グロンコウスキーはボストン郊外に本拠地があるニューイングランド・ペイトリオッツで9年間プレーしたので、ボストンのファンにも楽しみなカードである。

 身長211センチのカンターは、209センチだったジャイアント馬場よりも大きな大型ファイター。グロンコウスキーとの対戦は田園コロシアムでの『伝説のアンドレ対ハンセン』を彷彿とさせるビッグカード。「グロンクとの試合は世界中が観たいと思っている試合。僕はまだ(ボストン・)セルティックスに移籍して1年目なので、ボストンのファンはグロンクを応援するだろう」とカンターはサマースラムでのタイトルマッチに前向きだ。

 過去には1998年のNBAファイナルで激しい死闘を繰り広げたデニス・ロッドマン(当時シカゴ・ブルズ)とカール・マローン(当時ユタ・ジャズ)が、ファイナルの翌日に舞台をプロレスのリングに移してタッグマッチで戦ったことはあるが、現役のNFL選手とNBA選手によるタイトルマッチはそれ以来のドリームマッチだ。

 果たして真夏の夜の夢は実現するのか?1週間先のことが分からない現在、4ヶ月も先の見通しは立たないが、夢の実現を楽しみながら待ち臨みたい。

スポーツフォトジャーナリスト

東京都港区六本木出身。写真家と記者の二刀流として、オリンピック、NFLスーパーボウル、NFLプロボウル、NBAファイナル、NBAオールスター、MLBワールドシリーズ、MLBオールスター、NHLスタンリーカップ・ファイナル、NHLオールスター、WBC決勝戦、UFC、ストライクフォース、WWEレッスルマニア、全米オープンゴルフ、全米競泳などを取材。全米中を飛び回り、MLBは全30球団本拠地制覇、NBAは29球団、NFLも24球団の本拠地を訪れた。Sportsshooter、全米野球写真家協会、全米バスケットボール記者協会、全米スポーツメディア協会会員、米国大手写真通信社契約フォトグラファー。

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