コンサドーレの三上大勝GMが語るチャナティップと駒井善成の率直な評価
北海道コンサドーレ札幌の三上大勝ゼネラルマネージャー(GM)へのインタビュー連載企画。第1回では都倉賢選手のC大阪移籍について聞いたが、第2回の今回は2019年シーズンで札幌の主柱になるであろうチャナティップ・ソングラシン選手と駒井善成選手の評価について話を伺った(取材日:2018年12月25日)。
チャナティップの移籍金の設定金額は?
アシシ:チャナティップが今季のJリーグベストイレブンに選出されました。GMとして、彼の率直な評価を聞かせてください。
三上:彼がここまでの選手になるという自信は、2年前に獲得した時から持っていました。ただ、成長のスピードという観点で言うと、私の予想を遥かに超える速さで成長している、というのが率直な感想です。
アシシ:この成長曲線でいくと、ヨーロッパのクラブから声がかかるのは時間の問題かと思いますが、三上さんはどう思われますか?
三上:その可能性は十分あると思っています。ただ、現時点ではまずふたつのことをやり遂げようと本人と話しています。ひとつ目は札幌で結果を残して、ACLの舞台に立つという目標。ふたつ目はナショナルチームの中心選手として、タイ代表を初のワールドカップに導けるような成長を遂げること。これらふたつを成し遂げればヨーロッパへの道がおのずと開かれる、と本人とも話しています。
アシシ:そうやって一緒に彼のキャリアプランを練っているわけですね。とはいえ、三上さんは札幌のGMという立場なわけじゃないですか。これだけのポテンシャルを持っている有望株を他クラブに移籍させないよう、プロテクトする必要がありますよね。信ぴょう性は測りかねますが、海外メディアがチャナティップの移籍金は約7億円だと報じました。金額についてはさすがにGMの口から明かせないと思いますが、話せる範囲で安く買い叩かれないための対策をどう立てているか教えてください。
三上:具体的な話をすると、契約書にそういった違約金の金額の記載はせずに、都度話し合って決めましょうというのが私のやり方です。移籍先の国やカテゴリーによって、払える金額の規模が変わってくるわけで、例えばバイエルンのようなビッグクラブと、スペインの1部リーグで残留争いをしているクラブとでは、移籍金の桁は当然変わってきます。その都度、相手クラブの財力と選手の成長に合わせた金額を話し合って決める、というのが我々のスタンスです。
アシシ:これ、結構契約内容に踏み込んだ話ですけど、書いちゃって大丈夫ですか?
三上:問題ないですよ。
駒井善成のピッチ内外における貢献度
アシシ:では続いて、12月24日に浦和から完全移籍することが発表された駒井善成選手の評価について聞かせてください。
三上:オンザピッチの評価でいうと、ウィングバック、ボランチ、シャドーと3つのポジションをこなす中で、「1枚剥がす」能力とクイックネスの部分では、札幌にはなかなかいないアクセントのついた選手、という評価です。
アシシ:個人的には攻撃の組み立ての部分における貢献が大きいのかなと思ってました。左は福森、右は駒井が攻撃の起点になるパターンが圧倒的に多いなと、今年の試合を見ていて感じました。
三上:まさにその通りで、シーズン開幕前にはそのイメージで編成を組みました。
アシシ:そうだったんですね。駒井は今季29試合に出場しましたが、出ていない残りの5試合の戦績が0勝2分け3敗でした。レンタル移籍で契約上出られなかった浦和戦2試合(1分け1敗)と、手の怪我で負傷離脱した9月の川崎戦0-7と鹿島戦0-2の完敗試合、そして扁桃炎でベンチ外となった最終節広島戦の痛恨の2-2ドロー。この5試合、右サイドからの攻撃がうまく組み立てられなかったように感じます。
三上:たしかに、替えのきかない選手のひとりになってくれたと評価しています。更に試合以外でも駒井の貢献は非常に大きかったです。
アシシ:というと?
三上:ミシャ(ミハイロ・ペトロヴィッチ監督)就任1年目の今年、私は当初、ミシャの攻撃的スタイルが形になるのは、夏までかかると踏んでいました。しかし、短いキャンプの中で完成とまではいかないけど、予想を超えるスピードである程度、具現化することができました。その大きな要因のひとつに、駒井の存在があったと思っています。
アシシ:駒井は浦和時代、ミシャの下で約1年半プレーしていた経験がありますもんね。
三上:その経験を活かしてくれました。加えて、小野伸二と稲本潤一の存在も大きかったなと。やはり彼らの経験は頭抜けていて、トレーニングの中でミシャの狙いはこういうところにあるんだというのをプレーで表現してくれました。そのプレーをじかに見ている他の若手選手は、吸収しやすかったと思っています。
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