Yahoo!ニュース

最先端スニーカー「アダプトBB」世界先行発売。ナイキが仕掛けた21世紀のイノベーションと戦略(2)

安部かすみニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者
世界先行発売した、アプリと連動した最新アダプトBB。(c) Kasumi Abe

ナイキNYC・ハウス・オブ・イノベーション000とは?

【コーポレート取材で徹底解剖】

前回からのつづき)

■ 地下の「Speed Shop」と「Sneaker Bar」

地下の「Speed Shop」にはナイキロッカーや、各階に設置されたセルフチェックアウトなどがあり「よりスピーディーでパーソナライズな買い物をお約束します」とサンドラさん。

自分で会計ができるセルフチェックアウト。(c) Kasumi Abe
自分で会計ができるセルフチェックアウト。(c) Kasumi Abe

店内には、レジカウンターというものがない。

観光都市ニューヨークのリテール店のレジはどこも「うんざりするような長蛇の列」がお決まりだが、ナイキNYCはアプリを活用した「セルフチェックアウト」を導入し、そのような列を見かけない。

ナイキアプリを使うと、各階に設置された専用コーナーで自分で決済ができ、棚にある紙袋に商品を入れて完了。

また、ナイキロッカーの役目としては、「忙しくて買い物の時間がなかなか取れない人や、急にジムに行くことになった人がアプリで商品を購入し、このロッカーで保管することによって、会社帰りなど好きなときに列に並ぶことなく、いつでもピックアップできるのです」。

ロッカーにアプリをかざすだけ。ナイキアプリ利用者は無料で利用できるとのこと。

同じ地下フロアには「スニーカーバー」も設置されており、陳列されているスニーカーは、アプリやECサイトなどから収集した「ニューヨークエリアに住んでいる顧客の好みを反映したデータ」をもとにピックアップされたもの。

買い物後、メッセンジャーによる宅配サービスもあり。

■ 2階のレディース&キッズのウェア、3階のメンズウェア

(c) Kasumi Abe
(c) Kasumi Abe
(c) Kasumi Abe
(c) Kasumi Abe

2〜3階は、実用性重視の女性、男性、子ども用スポーツ&ファッションカテゴリーがそろっている。

この階でも、ナイキアプリを有効活用できる。

(c) Kasumi Abe
(c) Kasumi Abe

商品のQRコードをナイキアプリで読み取ると、購入はもちろん、在庫確認や、試着室に自動的に商品を届けてもらうことができる。

アプリで指示を出し、試着室ではなくピックアップエリアで商品を受け取ることもできる。(c) Kasumi Abe
アプリで指示を出し、試着室ではなくピックアップエリアで商品を受け取ることもできる。(c) Kasumi Abe

■ 4階のフットウェアと「Sneaker Lab」

(c) Kasumi Abe
(c) Kasumi Abe

スニーカー好きはとにかく4階へ。ここは世界最大規模のナイキフットウェア・フロア。種類と品ぞろえがとにかく多い。

4階の一角にある「Sneaker Lab」。(c) Kasumi Abe
4階の一角にある「Sneaker Lab」。(c) Kasumi Abe

「アプリで売り切れの大人気商品も、Sneaker Labでは直に出合えますよ」とサンドラさん。

販売間近の新商品が表示されているほか、売り切れ続出の商品や、ナイキNYCでしか販売していない希少価値の高いものに出合える。

(c) Kasumi Abe
(c) Kasumi Abe

■ 5階の「Expert Sessions」

デジタル推しの階下に比べ、5階の「Expert Sessions」は、まるで作業所といった雰囲気。ナイキの今の舞台裏がこのフロアでより感じられる。

「ここでは専門家によるよりパーソナルなサービスを受けることができます。5階に陳列されているマネキンが着ている一式はすべて、ここでオーダーメイドできます」

好きな生地や素材を選び、世界で一つのものをカスタムメイドできる。(c) Kasumi Abe
好きな生地や素材を選び、世界で一つのものをカスタムメイドできる。(c) Kasumi Abe
(c) Kasumi Abe
(c) Kasumi Abe

「職人らによる制作シーンの裏側」も目の前で見ることができ、ちょっとした工場見学的な雰囲気。

「カスタマイズする商品がどのような工程で作られているかを紹介するところです」とサンドラさん。商品に人肌を感じ、より愛着が湧いてくる。

(c) Kasumi Abe
(c) Kasumi Abe

ナイキNYCを訪れて感じたのは、ナイキが提供しているのは、ただ「最新のかっこいいもの」だけではない、ということだ。毎回新たな体験が待っていて、五感がフルに刺激され、訪れる者を飽きさせない。

まるでスニーカーの遊園地や博物館というにふさわしい場所であり、これからのリテールが目標とするべき理想の姿なのではないだろうか。

Nike NYC, House of Innovation 000

650 5th Avenue, New York, NY 10019 U.S.A.

TEL: (212) 376-9480

MAP

(Text and Photos by Kasumi Abe)無断転載禁止

ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

米国務省外国記者組織所属のジャーナリスト。雑誌、ラジオ、テレビ、オンラインメディアを通し、米最新事情やトレンドを「現地発」で届けている。日本の出版社で雑誌編集者、有名アーティストのインタビュアー、ガイドブック編集長を経て、2002年活動拠点をN.Y.に移す。N.Y.の出版社でシニアエディターとして街ネタ、トレンド、環境・社会問題を取材。日米で計13年半の正社員編集者・記者経験を経て、2014年アメリカで独立。著書「NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ」イカロス出版。福岡県生まれ

安部かすみの最近の記事