最先端スニーカー「アダプトBB」世界先行発売。ナイキが仕掛けた21世紀のイノベーションと戦略(1)
エレクトロニック・ミュージックや照明効果、近未来を彷彿とさせるインスタレーションに囲まれると、まるでクラブに来たかのような錯覚になるが、同時に手描きスケッチや、糸&メジャーなどのマテリアル展示に手作りの温かみもあり、博物館のようにも感じる。
マンハッタンの五番街にオープンし3ヵ月が経った、ナイキの旗艦店、Nike NYC, House of Innovation 000(ナイキ・ハウス・オブ・イノベーション、ナイキNYC)。
ここは世界中に展開するナイキの総本山で、フットウェアの進化と未来が「体験できる」場所だ。
2月14日は、ナイキアダプトBB(Nike Adapt)の世界先行発売日で、開店前からスニーカー・エンスージアストが集まり、数百人規模の大行列ができた。
スニーカーの未来がここに
ナイキアダプトBBとは、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』にも登場している「未来型スニーカー」。電動靴紐システムのテクノロジースニーカー「ナイキアダプト」の最新型だ。
電動シューレース調整システム「Fit Adapt」を搭載しているアダプトBB。靴紐はなく、アプリ「Nike Adapt」を使って、自分の好みのフィット感に調整する。
- 全米発売は2月17日、日本発売は3月22日(予定)
- 値段は350ドル、日本では37,800円
ナイキNYC・ハウス・オブ・イノベーション000とは?
【コーポレート取材で徹底解剖】
ナイキNYC・ハウス・オブ・イノベーション000(ナイキNYC)は、巷のネット情報に氾濫しているような、単に「最新のナイキシューズに出合えたり、カスタマイズできる場所」ではない。
「ナイキNYCは、地下1階から地上5階、総面積約6,320平方メートルの実店舗の中で、ナイキがナイキメンバー(顧客)と実際に繋がれる場所です。そして目で見て試着して感じるアクティブでダイナミックな体験の場を提供しています」
こう説明するのは、同社グローバル・コーポレート・コミュニケーションズ・ディレクターの、サンドラ・キャリオン-ジョンさん。
体験とは主に、ナイキが追求するデジタル体験、そしてスピーディーでより簡単で、顧客データに基づいたプロフェッショナルで科学的アプローチに基づくサービス体験のことだ。
■ 1階の「Nike Arena」
ナイキNYCの顔ともいえる1階のメインフロアは「Nike Arena」と呼ばれるセクション。
フットウェアの未来がここでわかる。季節ごとにコンセプトが変わり、いつ来店してもまったく違う「ワクワク体験」が待っている。
この日「Nike Arena」はたったの一夜にして大きく大改造し、3ヵ月前のオープン時とは「まったく」異なるアプローチを見せ「進化し続けるナイキ」をアピールし、常連客を驚かせた。
新「Nike Arena」にはおしゃれなバスケットボールコートもあり、アクティブなデモンストレーションで「購入後のイマジネーション」を掻き立てる。
内装が1晩にしてスピーディーに変えられるのは、「季節ごとのスイッチアウト(切り替え)をあらかじめ視野に入れ、組み立て可能なモジュラー様式にしたから」とサンドラさん。
(つづく)
ナイキ本店のみの限定商品は、1階奥にある「Adapt Tech Bar」や4階の「Sneaker Lab」を要チェック
(Text and Photos by Kasumi Abe)無断転載禁止