ミラン、ガットゥーゾ解任回避もCLは厳しい? みにくいアヒルの子は白鳥になれるか
長いシーズンが終わったとき、ハロウィンの夜にミラニスタを歓喜させたキャプテンの劇的な一発は、どのような意味を持つだろうか。
ミランは10月31日、延期分の第1節でジェノアを2-1と下した。ドローに終わると思われた終了間際のアディショナルタイム、相手守護神が弾いたボールを主将アレッシオ・ロマニョーリがダイレクトでがら空きのゴールに押し込んでの劇的な勝利だった。
◆1週間で再生
同じアディショナルタイムの失点でインテルとのミラノダービーを落とし、続くヨーロッパリーグのベティス戦でもホームで敗れ、ジェンナーロ・ガットゥーゾ監督の進退が騒がれたのは、わずか1週間前のことだ。
だが、サンプドリアとジェノアのジェノヴァ勢を立て続けにサン・シーロで沈めたことで、ミランは息を吹き返した。2連勝で勝ち点を18とし、ラツィオと並ぶ4位タイに浮上。目標であるチャンピオンズリーグ(CL)出場圏にたどり着いた。
サンプ戦で4-4-2、ジェノア戦では3-5-2と、2試合連続でフォーメーションをこれまでの4-3-3から変えてきたガットゥーゾ監督は、結果を出したことでひとまず解任風を吹き飛ばすことに成功した。何よりも4位浮上という結果が大きい。
ファブリツィオ・ボッカ記者は『レプッブリカ』で、ミランが突如として「みにくいアヒルの子から白鳥に」なったとし、「どちらが本当のミランか分からないが、インテルとともにCL出場圏に顔を見せ、上位につけているという事実は、少なくとも、ユヴェントスの背後にいるイタリアのサッカーが活気づき、ほぼすべてのビッグクラブが失った時間を取り戻そうとしていることの兆し」と記した。
◆スソ好調も守備は「悪夢」
危機脱出に貢献した一人が、ジェノヴァ勢との連戦でペナルティーエリアの外から得意の左足シュートを叩き込み、2試合連続弾を記録したスソだ。
『ガゼッタ・デッロ・スポルト』によれば、今季のスソはエリア外から4得点と欧州5大リーグ最多の数字を残している。チーム全体では、総得点の40%にあたる8得点をエリア外から決めており、そのうちの半分を一人でたたき出しているのだから、スソの貢献度の大きさがうかがえる。
攻撃陣が開幕10試合で20得点と2005-06シーズン以来13年ぶりの数字で好調なのに対し、心配なのが守備だ。今季は一度もクリーンシートがなく、これはセリエAでミランのみ。5大リーグでも、フラムとウエスカというプレミアリーグとリーガエスパニョーラの昇格組だけだ。
守備のもろさは昨季から続いており、現在は16試合連続失点中。データサイト『Opta』によれば、1946-47シーズン以来、クラブ史上2度目の低調ぶりだ。『スポーツ・メディアセット』が「悪夢の守備」と伝えるなど、ディフェンスに対する批判は数知れない。
「最少失点チームが優勝する」と言われるセリエAだけに、目標がスクデットではなくとも、ミランにとって不安の残るデータなのは確かだ。
◆CL出場には届かない?
実際、カルロス・パッセリーニ記者が『コッリエレ・デッラ・セーラ』で「ジェノア戦の終了間際での勝利が亡霊を振り払うのに足りないかもしれないことは明白」と綴ったように、ミランは不十分との評価も少なくない。
『スポーツ・メディアセット』のアンケートでも、1万5000人近いユーザーのうち、半数以上の52%が「ミランはCL出場にふさわしいチームではない」と回答している。
ただ、ミランがシーズン中に4位という順位を取り戻したのが1年以上ぶりということも忘れてはいけない。また、ステーファノ・バリジェッリ記者は『ガゼッタ』で、ミランにCL出場権を狙うだけのポテンシャルがあると述べている。
欧州最高峰の舞台から遠ざかって5年。ガットゥーゾとミランは、本物の白鳥になれるだろうか。