積雪の温泉地に潜むガス中毒の危険性
硫化水素
硫黄と水素の化合物である硫化水素は、日本の温泉地帯では広く発生しているガスです。
この卵の腐った匂いがする可燃性のガスは、空気中の濃度が0.15パーセント以上になると死に至ると言われる有毒ガスでもあります。
夏より冬の積雪地帯が危険
硫化水素は、大気より重たい気体なので、夏でも冬でも、風のない状態が続いた窪地などで硫化水素が充満すると事故につながります。
ただ、冬場で積雪があると、特に危険となります。
これは、地熱でできたくぼみなどに、積雪の割れ目に沿って硫化水素が集まってくることで、普段とは違う場所で高濃度になることがあるからです。
仮に、危険を知らせる看板などがあったとしても、雪で隠れてしまうからです。
火山ガスによる死亡事故
平成17年(2005年)12月29日、秋田県の泥湯温泉では、東京から遊びにきた4名が、旅館の積雪の駐車場にできた雪穴で、貯まっていた硫化水素により死亡しています。温泉の地熱によって積雪が融けてできた穴に、周囲から噴出した硫化水素がたまったのが原因です。
また、平成22年6月2日、青森県の八甲田山で女子中学生が硫化水素により死亡しています。
さらには、平成26年10月8日、北海道の足寄温泉で男性が死亡し、平成27年3月18日には秋田県の乳頭温泉で男性3名が死亡しています。
風が弱くなったら注意
日本列島に強い寒気が南下し、日本海側の地方では強い風が吹き大雪となっています。
気象情報の入手に努め、強い風と大雪に警戒が必要です。
風が強い時は、火山ガスは空気と混合されることで濃度が高くなりませんが、寒気の南下が一段落し、強い風がやみ、穏やかな状態になると、多雪地帯では、火山ガスがたまる場所があるかどうかの確認が必要となります。