どれがお好き?【水羊羹の歴史とあれこれ】あっさり、甘じょっぱい、白餡と個性豊かな味わいを添えて
夏の日差しが眩しくなるにつれて、冷たくてのど越しの良いものが恋しくなりませんか?冷やし中華、ざる蕎麦、冷製パスタ…飲食店やコンビニでも、冷たい麺類のラインナップが目立つようになりましたね。
さて、和菓子の世界でも夏になると売り上げが伸びるお菓子があるんです。それは「水羊羹」。
でも実は、水羊羹は元々冬に食べられていたというのをご存知でしょうか?
今回は、都内の和菓子屋さんで購入可能な水羊羹のお写真と共に水羊羹についてご紹介。
諸説ありますが、江戸時代におせち料理のデザートとして供されていたというのが有力といわれています。
当時、お砂糖をたっぷり使用した日持ちのする練り羊羹は非常に高級な品物。庶民にとっては高嶺の花でした。そこで、よりお砂糖や餡子が少ない水羊羹を、お口直しの締めとして食べていたとのこと。
砂糖の量が少ないということは糖度が低く、また、量を増す為に水分量を増やした水羊羹は日持ちがしない繊細な御菓子。したがって、傷みにくい冬に根付いたというのも理由のひとつです。明治時代以降には、福井県にて一枚の板に流した水羊羹が食べられる風習がありますが、こちらもその名残りを汲んでいるのかもしれませんね。
さて、冷蔵技術が発達した現在は、涼を求めて暑い夏に好まれることが増えた水羊羹。その味わいや見た目も様々。
豆大福でも有名な「八丁堀伊勢屋」さんの水羊羹は、一枚流しの水羊羹を一人前にカットしたもの。ピンと鋭い角が魅力的です。口に入れてそっと舌先で潰していけば、じわじわと滲みだすこし餡の甘味とその奥からやってくる小豆の風味。体に染み込むような優しさです。
こちらは中央区新川に本店を構える、全国にファンの多い苺大福を販売なさっている「翠江堂」さんの水羊羹。一人前用にカップに入れらているので、手を汚さずスプーンで食べられるのも嬉しいですね。実は翠江堂さんの水羊羹は、やや小ぶり。なのですが、水羊羹といえやや締まった仕上がりに調整されています。味わいも濃厚、更にやや強めにキリリと塩気を効かせているので、冷たい麦茶やアイスコーヒーと一緒にいただくと非常に満足度の高いお茶の時間を過ごせるかと。
さて、こちらは苺大福の元祖とも呼ばれる新宿区住吉に本店を構える「大角玉屋」さんの水羊羹。大角玉屋さんは東京駅にも店舗がございますので、都内への出張やご旅行の際に新幹線でのおやつとしても召し上がることができます。
まろやかな味わいが特徴の白餡の羊羹には、ふんわりと上品な白桃の果実を添えた優美な水羊羹。ちゅるりと滑らかな錦玉に、可愛らしい桃色の淡雪羹、白桃、白餡の羊羹と四つの美味しさが詰まった楽しいお菓子です。
保存性重視だったものが、今では旬の味わいを重視したお菓子に変化した水羊羹。お店によって個性も様々ですので、この夏は水羊羹の食べ比べなんかもおすすめです。
水羊羹は日持ちが当日~二、三日のものが多いので、くれぐれも買いすぎにはご用心。
<八丁堀伊勢屋>
東京都中央区八丁堀3丁目18-11
月曜~金曜 8時~18時30分(9時頃に商品が揃います)
定休日 土日祝
<翠江堂・本店>
公式サイト(外部リンク)
東京都中央区新川2-17-13
0-3551-5278
平日 9時~18時
土曜 9時~14時
日曜・祝日 定休日
<大角玉屋・銀座>
公式サイト(外部リンク)
東京都新宿区住吉町8-25
03-3351-7735
9時~19時30分(日曜日のみ~18時30分)