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打撃コーチを解任したヤンキースが後任に招いたのは、監督の元チームメイト。コーチ経験は皆無

宇根夏樹ベースボール・ライター
ケン・グリフィーJr.(手前)とショーン・ケーシー June 20, 2004(写真:ロイター/アフロ)

 7月10日、ニューヨーク・ヤンキースは、ショーン・ケーシーの打撃コーチ就任を発表した。

 前日の試合後、ヤンキースは、打撃コーチを務めていたディロン・ローソンを解任している。ケーシーは、その後任だ。

 ここまで、ヤンキースは、ホームランこそリーグ3位の129本を記録しているものの、他のスタッツは、芳しくない。出塁率.300が11位、長打265本が10位、OPS.710が8位、400得点は9位だ。

 100打席以上の14人中、アーロン・ジャッジ以外の出塁率は.350に満たず、OPS.790以上も、他にはいない。先月上旬から、ジャッジは欠場している。

 ケーシーは、1997年から2008年までメジャーリーグでプレーし、通算本塁打は130本ながら、322本の二塁打を打ち、打率.302と出塁率.367を記録した。オールスター・ゲームには、3度選出されている。

 ただ、コーチとしての手腕は、まったくの未知数だ。引退後は、解説者を務めていて、メジャーリーグだけでなくマイナーリーグでも、コーチ・監督の経験はない。また、ヤンキースに在籍するのも、今回が初となる。

 ケーシーとアーロン・ブーン監督は、1998年から2003年の夏まで、シンシナティ・レッズでチームメイトだった。一塁手と三塁手だ。ヤンキースがケーシーを打撃コーチに招いたのは、この点が大きいように思える。

 あるいは、そのキャラクターも、理由の一つかもしれない。ケーシーは、社交的な性格で知られ、守備についていた時、出塁した相手チームの選手に話しかけ、会話をすることから、「ザ・メイヤー」――市長、町長、村長など――と呼ばれていた。

 アシスタント打撃コーチの2人、ケーシー・ダイクスブラッド・ウィルカーソンは、引き続き、その役割を務める。

 なお、上の写真は、500本目のホームランを打ったケン・グリフィーJr.を、ケーシーがハグしている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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