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3月以来の4連勝!2位に戻った阪神ファームの“新潟遠征こぼれ話”

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
ファーム交流試合でメンバー表を交換する、阪神・平田監督と日本ハム・荒木監督。

 新潟県三条市の三条パール金属スタジアムで行われた、日本ハムとのファーム交流試合は打線が活発でした。でも大量リードは一転、終わってみれば2試合とも1点差での逃げ切りです。とはいえ連敗を8で止め、借金もなくなった阪神。三条での試合詳細は、こちらの記事でご覧ください。→<俊介が2試合で打率.625!江越は先頭弾の連発!>

 今週は鳴尾浜にウエスタン・リーグ首位のソフトバンクを迎えています。20日は馬場投手が5回まで投げて3点を失ったものの、打線が8回に4点を取って逆転勝利!この時点で2位のオリックスとゲーム差がなくなり(勝率は約1厘差)、ソフトバンクとは5ゲーム差になりました。

 21日はメッセンジャー投手が先発、3回を投げて2安打ながら2失点(釜元選手の2ラン)。しかし5回に岡崎選手のタイムリー、相手の野選や暴投で3点を取って逆転すると、6回も藤谷選手のタイムリー二塁打、森越選手と板山選手の連続タイムリーで計4点!本来の先発予定だった岩田投手が4イニング目の7回に2点を失いますが、その裏の攻撃で相手エラーと森越選手のタイムリーで2点追加。8回に1点返されても大丈夫!9回は福永投手が三者凡退締めでした。

 9回のみマスクをかぶった長坂選手との息はぴったりですね。三条でも配球の変化が奏功したように見えたけど、この日はカーブで入ってカーブで見逃し三振を取り、最後の打者もカーブで右飛に打ち取ったバッテリー。福永投手も「新しいスタイルでした」と言っていて、これからがまた楽しみです。

 ソフトバンクに2つ勝ち、これで3月下旬以来、今季2度目の4連勝。オリックスを抜いて、8月8日以来の単独2位に戻りました。首位・ソフトバンクは4ゲーム差です。1軍も京セラドームでDeNAに連勝!この2日間、昼も夜も観戦された方は最高でしょうね。しばらく試合を見に行けない私は、しっかりテレビで応援します。

 そんなわけで、きょうは新潟遠征のこぼれ話を書かせていただきました。人気投票や賞品、野球教室のことなどです。

平田監督は5年ぶりの三条

 阪神は2009年から毎年(2011年を除く)、三条で試合を行っていて、毎年のように書いているんですけど、必ず雨の影響を受けます。開催時期が5月から8月とバラバラなのにもかかわらず、結構な割合で雨に降られるという…。これまで雨がまったく降らずに2日間を終えたのは2016年と昨年の2度だけでした。ただし中止は2009年の2試合目のみで、翌年の2試合目がゲリラ豪雨で8回コールドゲームになったくらい。主催される方々のご尽力で開催にこぎつけた試合がいくつもあります。

練習中に通り雨。そこそこ本降りになったので、シートがかぶせられました。
練習中に通り雨。そこそこ本降りになったので、シートがかぶせられました。

 ことしは17日の朝、阪神が練習中の9時過ぎに突然ザッと降り出し、あわててシートをかぶせる事態に。15分程度で上がったものの、晴れてきた時の蒸し風呂状態がきつかった!ただ地元の方は「15日は三条市でも40度を超えたので、それに比べたら」と笑っておられました。台風によるフェーン現象で40度超えの最高気温を記録したところが新潟県内は何か所かあったんですよね。

 翌18日の三条は雨の心配がなく、朝からカンカン照り!気温はそれほど上がっていませんが、暴力的な日差しに倒れそうな暑さでした。でもお客様は皆さん、気合を入れて参戦されたのでしょう。急病人が出なくて何よりです。もちろん審判や選手、スタッフも備えはしっかりできていたということですね。

ことしは球団旗(右端)とともに、ファーム日本一のチャンピオンフラッグ(右から2番目)も持ってこられました!
ことしは球団旗(右端)とともに、ファーム日本一のチャンピオンフラッグ(右から2番目)も持ってこられました!

 三条でのウエスタン公式戦が初めて開催されたのは2009年5月30日と31日。これは、2004年7月13日を中心に新潟・福島を襲った豪雨で特に大きな被害を受けた三条市が、5年後に復旧を記念し『7.13水害復興記念イベント』と銘打って行われたものです。相手はソフトバンクで、新潟県出身の横山龍之介投手(日本文理)が入団して3年目、第一期監督時代の平田監督も同じく3年目のことでした。

 翌2010年もソフトバンク戦で、2011年はイースタン同士の公式戦だったため阪神はなし。2012年から3年間は阪神が中日と対戦。そして2015年に三条で初めてのファーム交流試合・阪神-日本ハム戦が行われています。日本ハムとは2013年7月に初めて鎌ヶ谷で対戦し、その後は2015年が三条、2016年が鎌ヶ谷、というふうに交互で開催するようになりました。よって2015年以降の三条では、奇数年が日本ハム、偶数年は他チームとの顔合わせです。

人気投票は藤浪投手がぶっちぎり

 正面入口横では毎年恒例『総選挙(ファン投票)』の投票所があり、ことしも遠征してきた両チームの監督、コーチ、選手らの顔写真が貼り出されていました。17日から18日の11時まで受け付けて、18日の試合前に結果発表。それぞれ1位に選ばれた人が表彰されます。ことしの1位は阪神が藤浪投手、日本ハムが荒木監督でした。2ケタ以上を獲得した上位陣の票数を書いておきましょう。

三条恒例『総選挙』。朝から皆さんが投票中です。
三条恒例『総選挙』。朝から皆さんが投票中です。

【阪神】

 1位 藤浪投手  165

 2位 中谷選手  32

 3位 上本選手  30

 4位 新井コーチ 22

 5位 江越選手  17

 6位 岩貞投手  12

【日本ハム】

 1位 荒木監督  27

 2位 野村選手  21

 3位 平沼選手  14

 表彰式は18日の試合開始前だったので、ブルペンで準備中の先発・藤浪投手に代わって小幡選手が参加しています。日本ハム・荒木監督はちょっと照れくさそうでしたね。

帰りのトラックは賞品でいっぱい!

 また三条での試合では毎回、地元企業から提供いただいた賞品が活躍した選手に贈られます。球場の正面ロビーに飾られた品はアウトドアグッズやお米、お酒など。毎年少しずつ変わっているのですが、選手だけでなくスタッフの皆さんも「あれ、いいなあ」と眺めておられました。様々なタイプのグリル、キャンピングベッドにハンディクーラーなど家族サービスにもぴったりですもんね。

ことしも両監督に自転車が贈られ、平田監督が小幡選手に…。
ことしも両監督に自転車が贈られ、平田監督が小幡選手に…。
小幡選手は手がふさがっていて、例年のように乗って戻れず。昨年はロサリオ選手が乗りましたね。
小幡選手は手がふさがっていて、例年のように乗って戻れず。昨年はロサリオ選手が乗りましたね。

 各賞の受賞者をご紹介しましょう。もしかすると違っているかもしれませんが、手元にあるリストで見て書かせていただきます。

 『勝利投手賞』は17日が岩貞投手、18日が藤浪投手で「V型卓上グリル」と「グリルプレート4点セット」の2つ。

 『セーブ賞』は17日が福永投手、18日が高野投手で「BBQスモークオーブングリル」。

 『猛打賞』は17日が日本ハム・野村選手、18日は俊介選手で「収束型4輪キャリー」。

 『ホームラン賞』は17日が江越選手、18日が江越選手と俊介選手で「アメリカンイージーグリルtype2」か「三条産コシヒカリ5キロ」か「三条しただ産の本格芋焼酎“五輪峠”」、3種類のいずれかを1本につき1つ。リストの上から順にということでしたが、江越選手は同じもの2つになっちゃうので変更されたかもしれません。

 『三塁打賞』は17日が日本ハムの高浜選手、18日が江越選手と荒木選手で「スチールフォームクーラー51リットル」、18日はもう1人、荒木選手が「三条産コシヒカリ5キロ」。

球場ロビーに展示された賞品の数々。
球場ロビーに展示された賞品の数々。

 最後は『ヒーロー賞』です。17日は満塁で走者一掃のタイムリー二塁打を放った藤谷選手、18日は2ランを含む3安打の俊介選手で「アルミGIキャンピングベッド」と「三条しただ産の本格芋焼酎“五輪峠”」の2つが贈られました。

 米どころ新潟で芋焼酎?と思って聞いてみたところ、米麹を使っているとのこと。なるほど!芋焼酎が苦手、という方にもオススメなんだそうですよ。これらの賞品は荷物と一緒にトラックで運ばれたので、もうそれぞれ自宅へ持って帰り、ご家族に喜んでもらったでしょう。

野球教室はみんなが少年に戻る?

 最後に野球教室の話も書いておきます。ことしは17日の試合後に、三条市のスポーツ少年団9チームから約160人の男女小学生を迎えて行われました。子どもたちは朝7時にグランドで集合して、自宅から持ってきた雑巾でスタンドの客席を1つ1つ拭いてくれたそうですよ!お父さんやお母さんと一緒に。終わってから一度解散し、それぞれ地元のグラウンドに戻って練習をしたり、球場に残って試合を見たり。そして夕方にまた集合と、かなり長い一日だったんですね。

「こうやった時にバットを引いて」と説明する江越選手。そのあと“SOS”が…。
「こうやった時にバットを引いて」と説明する江越選手。そのあと“SOS”が…。
中谷選手はご覧の表情。今度は1軍でたくさん笑いましょう!
中谷選手はご覧の表情。今度は1軍でたくさん笑いましょう!

 バッティング練習を見ていると、大きな体格で豪快にボールを叩く子がいれば、まだスイングのタイミングをしっかり取れない子もいて、様々です。選手たちはその子に合わせて優しく「僕がボールを投げるのに一度うしろへ手を引いたら、きみもバットを引いてね」という感じでアドバイスしますが、これがなかなか伝わらなくて。困り果てた江越選手から「俊介さん、助けてください!」とSOSを受けた俊介選手は「助けて?」と大笑いです。でも一緒に説明してあげていました。

 野球教室ではどの選手も飛びっきりの笑顔を見せてくれるので、いい写真が撮れます。昨年まで在籍した西田選手や、1軍にいる北條選手は子ども以上に楽しそうだし、中谷選手の生き生きした表情もおなじみ。そんな中谷選手と、今回の野球教室は困惑気味だった江越選手の同い年コンビが一緒に昇格しました!とくに中谷選手は6月4日以来の1軍なので、ひときわ真っ黒ですよねえ。悩んで苦しんで、頑張った成果をしっかり見せてきてください。

ネットの横に正座してトス。小幡選手です。
ネットの横に正座してトス。小幡選手です。

 また小幡選手の周りにはいつも子どもたちが集まる気がして、高代コーチに尋ねてみたら「小幡は子どもに大人気よ!教え方もうまい。わかりやすいんやろね」とのこと。なるほど、トスを上げる時も目を見てタイミングを計ったり、打つ順番を待っている子の隣にしゃがんで話しかけたりしています。もちろん他の選手もですけど、とにかく子どもの目線に合わせてあげるからでしょうね。きっと子どもにはわかるんですよ。「このお兄ちゃんはやさしい」と。

これも恒例、平田監督の無茶ぶり

 閉会式では今回、斎藤投手が締めの挨拶をしました。大きな声で子どもたちにも手を挙げさせるなど、さすがパパですね。ニコニコと話す斎藤投手の横顔を、これまたニヤニヤと見つめる片山選手。しっかり写真に入っています。

野球教室の閉会式でマイクを手に挨拶する斎藤投手。斜め後ろの笑顔は片山選手です。
野球教室の閉会式でマイクを手に挨拶する斎藤投手。斜め後ろの笑顔は片山選手です。

 続いて、子どもたちを代表して男の子がお礼の挨拶。その子に斎藤投手から記念品が手渡される時、例によって平田監督の「グラブもあげろ」の言葉が…と思ったら、この日は既に誰かのグラブを持って渡そうとしています。「いいだろ?尾仲」と笑いながら。冗談だろうと思っても、さすがに何度も差し出されたら子どもだって受け取りますよね。でも手は出しませんでした。尾仲投手がうしろで「ダメ」というオーラを出しまくっていたからでしょうか(笑)。

少年に、尾仲投手のグラブをプレゼントしようとする平田監督(左から2人目)。ものすごいニヤニヤ顔ですね!
少年に、尾仲投手のグラブをプレゼントしようとする平田監督(左から2人目)。ものすごいニヤニヤ顔ですね!

 この三条での野球教室も毎年のことなので、最初の頃に参加してくれた子たちは高校生か、もう成人している子もいますね。みんな覚えてくれているかな。阪神の選手もかなり変わったけど、今回参加したメンバーでは上本選手が2009年に2試合とも出て2安打ずつ!それに藤原ファームマネージャーが1試合目に3番レフトで出ています。もちろん平田監督も。

 地元・新潟の胎内市役所で働く横山龍之介さんは、土日もかなり忙しいそうで、ことしは球場には来られませんでした。平田監督や懐かしいトレーナーさんにも会いたかったようですが、またチャンスはありますからね。今も市役所の軟式野球チームで投げているとか。元気に頑張ってください!

    <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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