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全国では30.0%、最多普及は静岡県の39.3%…FAXの世帯単位での普及状況

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
ビジネスの場ではよく使われるFAXだが、一般世帯では?(写真:イメージマート)

今でも現役でやりとりされる事例も多いが、インターネットの普及とともに必要性が減った家電の一つにFAX(ファックス)がある。ファクシミリ(facsimile)の短縮語で、電話回線を介して画像情報を送り伝える機器・仕組みを指し、かつては図版を素早く送る手段としては欠かせない存在だった。今では業務用はともかく、家庭用としてはインターネットとデジタルスキャナやデジタルカメラの併用で、ほぼ代替ができる。そのFAXに関して世帯ベースでの保有率を、総務省が2023年5月に発表した「通信利用動向調査」(※)の公開値を基に確認する。

次に示すのは回答者の世帯におけるFAXの保有状況。なお機器そのものは存在していてもしまい込んでいたり故障で放置しているなどの理由で、過去1年間に一度も利用していない、あるいは自前での調達ではなく勤め先から借りていたり経費で購入したものは該当しない。要は今現在でも利用しているFAXが自宅にあるか否か。

↑ FAXの保有状況(世帯単位、属性別)(2022年)
↑ FAXの保有状況(世帯単位、属性別)(2022年)

全体では30.0%が保有している。しかしながら20代世帯ではわずかに2.3%、30代世帯でも5.9%、40代でようやく21.8%となる。50代以降は3割以上を維持し、60-70代では4割超え。この動向を見るに、幼いころからインターネットに触れている世代はFAXの必要性を感じず親元から離れて暮らすようになってもFAXを購入することはなく、かつて必要だった世代はそのまま維持している実情が透けて見える。あと10年も経過すれば、その時の40代の保有率も(今現在の30代がそのままシフトして)数%となるだろう。あるいは必要性がなくなったことから廃棄し、さらに落ち込みを見せるかもしれない。

世帯構成別では若年層の単身世帯が1割足らずと少ない。また、高齢者を含む世帯が一段と高い値を示していることから、高齢者における需要が高いことも推測できる。

世帯年収別ではおおよそ高年収の世帯ほど高保有率。元々年齢が上になるに連れて世帯年収が高くなる傾向があるのに加え、高世帯年収の自営・自由業者や、交友関係上のつながりの点で高世帯年収者ほどFAXが必要な高齢層との関係があるのかもしれない(あくまでも相関関係であり、「FAXを持っていれば高世帯年収になれる」を意味しない)。

都道府県別の保有率の実情を示したのが次のグラフ。

↑ FAXの保有状況(世帯単位、都道府県別)(2022年)
↑ FAXの保有状況(世帯単位、都道府県別)(2022年)

必要性を考えれば世帯主の年齢との連動が推定されることから、各地域の年齢階層別人口構成比と浅からぬ関係があるように思われるのだが、実際にはそのような動きは見られない。

もっとも低い値を示したのは沖縄県の10.2%、高い値は静岡県の39.3%で続いで滋賀県の39.0%、奈良県の38.1%。高い値の地域は農業関係でFAXによる連絡を多用しているとの話もあるが、この調査結果からだけではその裏付けはできない。とはいえ、地域によっては今なお4割近くの世帯で(稼働状態での)FAXが存在しているのには違いない。

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※通信利用動向調査

2022年分は2022年8月末に、「世帯向けは都道府県および都市規模を層化基準とした層化二段無作為抽出法で選ばれた、満20歳以上の世帯主がいる世帯・構成員に」「企業向けは公務を除く産業に属する常用雇用者規模100人以上の企業に」対し、郵送あるいはオンラインによる調査票の配布および回収の形式によって行われている。有効回答数はそれぞれ1万5968世帯(3万9557人)、2428企業。各種値には国勢調査や、全国企業の産業や規模の分布に従ったウェイトバックが行われている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項のない限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

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(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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