AirbnbやUberは北欧ノルウェーでどうなのか?ベルゲンで民泊を試してみた
![](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/abumiasaki/00091057/top_image.jpeg?exp=10800)
ネガティブな報道が目立つシェアリングエコノミー
AirbnbやUberは、ノルウェーにも進出している(Uberは進出して「いた」になりつつあるが)。
だが、新聞やテレビでのニュースを見ていると、圧倒的にネガティブな報道しか、筆者は見かけてこなかった。
Airbnbにおいては、
- オスロの賃貸者が宿泊者の個人情報を盗み、航空チケットなどを購入していた
- 宿泊先がパーティー会場となり、現場が荒らされていた
- 宿泊先が売春宿として悪用されていた、など
Uberにおいては、さらに風当たりが強かった。安い価格帯が、物価の高い現地のタクシー業界に衝撃を与え、労働環境や納税などの問題でも政治レベルで問題に。昨年、オスロ警察は、Uberの一部のサービスを違法だと結論づけた。リムジン配車においては、今もUberは合法で継続中。
このようなニュースばかりが記憶に残り、どれだけ市場にポジティブかという伝え方は、あまり目立たない。
既存ホテルやタクシー業界の問題点が、同じレベルで報道されないことを考えると、不公平だなとも思う。
筆者はノルウェー現地のタクシーをよく使うが、ただでさえ問題も起きやすいので、クレームする時に責任者があいまいなUberを使う勇気はまだない。
6月は、ベルゲン都市に出張する機会があったので、ドキドキと初めてAirbnbを使ってみた。
人気の観光地でAirbnbを試してみた結果は?
![北欧家具にあふれた家の中で、走り回る犬](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/abumiasaki/00091057/image01.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
出張中に、宿泊先でトラブルが起きて、クレームでエネルギーを無駄に使うことは避けたかった。「スーパーホスト」に認定されている3棟をチョイスし、5泊した。
「何か問題が起きたら、それもネタにしよう。予想外のことが起きるのが、旅だし」と構えていたのだが、何も問題なく、むしろホテルに泊まっていた時よりも、楽しく充実した時を過ごせてしまった。
![ドキドキの最初の1棟目、ホストのフランクさんは、家を丸ごと貸し出しており、近くの建物に住んでいた](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/abumiasaki/00091057/image02.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
ノルウェーでのAirbnbは、「思っていたよりも良くなかった」という個人体験談も周囲から聞いていたので、筆者は運がよかったようだ。
知人の日本人は、オスロでのAirbnbで、ゴキブリが何匹も出る家にあたってしまったらしい(寒い国なので、ゴキブリ自体がそもそも珍しい)。
![画像](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/abumiasaki/00091057/image03.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
新しい観光スポットが増えるノルウェーで、宿泊施設が増えてほしい理由
オーロラ、フィヨルドなど、「自然や絶景」観光客が圧倒的に多いノルウェー。だが、このような自然を目的とする地域は、自然の中にあるため、必ずしもインフラが整っているわけではない。
特に、ここ数年で一気に話題になり始めている、新しい「セルフィー絶景スポット」である、「トロルの舌」や「ロフォーテン諸島」などは、都市から離れている。
![絶景写真がSNSで広まり、観光客が押し寄せたトロルの舌](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/abumiasaki/00091057/image14.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
夏に押し寄せる観光客の数に、宿泊施設やトイレの数が足りず、地元の人々と観光客との間に摩擦がうまれ始めている。結果として、現地でマイナスに報道されるのは、観光客だ。
だからこそ、物価の高いノルウェーで、移動方法や宿泊先の選択肢が増えるのは、いいのではないのかなと筆者は思う。そう簡単にはいかないらしい。
国外モデルや民間ビジネスに懐疑的なノルウェー、「プライベートアレルギー」
![心地よく迎え入れてくれた2棟目のホスト、リンドンさん](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/abumiasaki/00091057/image05.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
AirbnbやUberが、特に報道機関や自治体などに簡単に受け入れられない背景には、ノルウェー独特の理由もあると思う。
国外や民間のブランドが乗り込んできた際、日本と比べて、社会民主主義の傾向が強いノルウェーではその流れを嫌がる。
よりよしとされるのは、国営や公共施設。売り上げを平等に社会にシェアするわけではない、特定の人だけが儲けるかもしれない民間運営は、やけに嫌われる傾向がある。
筆者はこれを、「ノルウェー人のプライベートアレルギー」と勝手に名付けている。さすが、Amazonがないことを、あまり疑問視しない国だ。
それでも、AirbnbやUberの波はノルウェーでも動いていた。
ベルゲンでのAirbnbは、期待値が低かったので、予想以上によかった
![3棟目の自宅窓からの風景](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/abumiasaki/00091057/image06.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
ベルゲンといえば、フィヨルド観光客と世界遺産ブリッゲンを求めて、世界中から観光客がやってくる。
今回のAirbnb3棟は、中心部やブリッゲンまで、徒歩で10~15分ほどでアクセスできる場所にあった。
唯一盲点といえば、ベルゲンは坂が多い場所なので、どの家も坂をのぼらなければいけなかったこと。長旅で疲れている時にスーツケースで移動する場合は、タクシーを使ったほうが体力と時間を節約できる。
どのホストも、「宿泊者とトラブルがあったことは、ほとんどない」と答えた。日本人が来ることはまずないが、Airbnbに慣れているアメリカ人が圧倒的に多いという。
![3棟目のホスト、エヴァ・マリエさんとは毎日朝食を一緒に](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/abumiasaki/00091057/image07.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
筆者はあえて、価格帯はあまり気にせず、リスク回避で「スーパーホスト」認定、現地らしい暮らしが体験できるような普通の自宅、北欧デザイン家具へのこだわりがあり、一緒に朝食を食べたり、子どもやペットの犬と交流できる場所を優先して選んだ。
![フランクさんホストの家は丸ごと貸し切りだったので、キッチンなども完備](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/abumiasaki/00091057/image08.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
観光ガイドブックでは掲載されていないような、おすすめスポットなどを聞いたり、おしゃべりできたので、楽しい時間を過ごせた。また出張時には、Airbnbをぜひ利用したいと思う。
![地図でおすすめスポットを教えてくれるフランクさん。どこの家にも観光客向けの地図などが置いてあった](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/abumiasaki/00091057/image09.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
王道や批判を好み、新しいものに警戒するのはノルウェーらしい傾向ではあるが、それなら既存のホテルやタクシー業界も、ポジティブとネガティブな伝え方のバランスをとって、同じように報道されてもいいのでは、と思ったのだった。
![寝室のスタイルは、家によってさまざま](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/abumiasaki/00091057/image10.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
![どこの家庭も家具などが異なるので、わくわくする発見がある](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/abumiasaki/00091057/image11.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
![朝食は、ノルウェーのスーパーでおなじみのものがたくさん](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/abumiasaki/00091057/image12.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
![今回はたまたま全ての家でよい体験ができたが、北欧でのAirbnb全部で必ずしもこうとは限らない。何事も期待しすぎないのが、北欧旅行を楽しむ秘訣だ](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/abumiasaki/00091057/image13.jpeg?fill=1&fc=fff&exp=10800)
Photo&Text: Asaki Abumi