メジャーリーグのプレーオフ、アメリカン・リーグ優勝決定シリーズ（ALCS）第5戦は後がないアストロズがカルロス・コレアのサヨナラ本塁打で勝利して2連勝。対戦成績を2勝3敗とした。前日の第4戦でプレーオフ11打席目にして初安打を放ったレイズの筒香嘉智は出場機会がなかった。

　全試合がサンディエゴのペトコ・パークで行われるために移動日がないALCSは、レイズ、アストロズの両チームともに投手陣のやり繰りに苦心している。休養日なしの5試合連続となった第5戦では、レイズはオープナー、アストロズは新人投手リレーを採用。

　先手を取ったのは負けたら終わりのアストロズ。レイズの先発、ジョン・カーティスが投じた1球目を先頭打者のジョージ・スプリンガーがレフト・スタンドに叩き込んだ。

　プレーオフ61試合目でのプレーオフ通算19本塁打はメジャー歴代最速。31歳のスプリンガーは、ミッキー・マントル、レジー・ジャクソン、チームメートのホゼ・アルトゥーベの3人（18本塁打）を抜いて、アルバート・プーホルスに並ぶプレーオフ歴代4位に浮上。20本塁打で3位のデレク・ジーター、22本塁打で2位のバーニー・ウイリアムズを射程圏内に捉えた。（通算プレーオフ本塁打の歴代1位は29本塁打のマニー・ラミレス）

　アストロズのダスティー・ベーカー監督は「先取点を取ったチームが勝つ確率は7割近い。試合開始すぐの得点、それも初球で得点することに関してスプリンガーよりも優れた選手はいない」とポストシーズンに滅法強い強打のリードオフマンを称えた。

　レイズは3回に今プレーオフで不振に苦しむブランドン・ローがソロ本塁打で同点に。レギュラーシーズンではチーム最多の１４本塁打を放ったローが試合を降り出しに戻した。

　しかし、アストロズはその裏8番打者のジョシュ・レディック、9番打者のマーティン・マルドナドが連打。下位打者が無死2、3塁のチャンスを作ると、１死からマイケル・ブラントリーがライト前に２点適時打を放って勝ち越した。

　鈍足で知られるマルドナルドは、今季の走塁スピードは野手の中でメジャー・ワースト10位の秒速23.7フィート。しかし、このプレーではメジャー平均の秒速27フィートには満たなかったもののレギュラーシーズン中を大きく上回る秒速25.4フィートで2塁からホームまで走り、貴重な追加点を勝ち取った。

　アストロズは先発のルイス・ガラシア（2.0イニング）、ブレイク・テイラー（0.2イニング）、エノリ・パレデス（1.2イニング）、アンドレ・スクラブ（1.1イニング）、ブルックス・ラーリー（1.0イニング）と5人の新人投手を小刻みに継投。

　毎回のように走者を出すが要所を締めて17残塁を記録。レイズ打線を3本のソロ本塁打の3点に抑えた。

　そして、同点で迎えた9回裏。コレアはベンチから打席に向かう前にベーカー監督に向かって、「サヨナラ本塁打」と予告してから打席に入った。

　「スイングの形もリズムも良く、この試合を終わらせると分かっていた」と自信満々で打席に立ったコレアはニック・アンダーソンが投じた球をセンターに叩き込むと、ゆっくりと打席から走り出しながら高々とバットを放り投げた。

　アストロズはスプリンガーの先頭弾で試合を始め、コレアのサヨナラ弾で試合を終えたが、メジャーリーグの長いプレーオフの歴史の中でも同一チームが先頭打者本塁打とサヨナラ本塁打を放ったのは史上初めての快挙だった。