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主な新興国経済ニュース(5月1日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

ポーランド国営ガスPGNiG、CEOを解任―ロシアとの覚書締結問題で

ポーランドのドナルド・トゥスク首相が先月19日に、国営ガス大手PGNiGとロシア国営天然ガス大手ガスプロムの覚書締結をめぐる問題で、ミコワイ・ブザノフスキ財務相を更迭したのに続き、国営ガス大手PGNiGのグラジナ・ピョトロフスカ・オリワCEO(最高経営責任者)が4月29日の監査役会で解任された。地元週刊紙ワルシャワ・ボイス(電子版)が伝えた。

これは同社が証券監督当局に提出した報告書の中で明らかにしたもの。それによると、同氏の解任理由について、「ピョトロフスカ・オリワ氏は監査役会の信頼を失った。これ以上、監査役会のメンバーは同氏に協力していくことはできなくなった」としている。PGNiGの取締役会は、同氏の解任に伴い、暫定CEOにミロスラフ・シュカルバ取締役を選出した。

ブザノフスキ財務相は、PGNiG傘下のユーロポル・ガスとガスプロム傘下のガスプロム・エクスポートが4月5日に極東シベリア地方のヤマル半島からベラルーシとポーランド経由でドイツまで天然ガスを送る新パイプライン網「ヤマル-2」の建設に向けたフィージビリティ(実現可能性)調査に関する覚書を結んだが、PGNiGは監督官庁であるポーランド財務省に事前に報告していなかったため、解任されていた。

更迭の背景には、ヤマル半島からドイツまで天然ガスを送っている既存のパイプライン網「ヤマル・ヨーロッパ」に加えて、新パイプラインの建設は、ロシアがポーランドと親交の深いウクライナ経由のパイプラインを閉鎖することになりかねないとして危惧していたことがある。

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ロシア大統領:天然ガス大手ガスプロム、日本にガス供給施設建設の用意ある

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は4月29日、ロシアを公式訪問した安倍首相との会談後、記者会見し、日本へのエネルギー供給を拡大する方針を明らかにした。その一環として、同大統領は、日ロ両国によるLNG(液化天然ガス)生産施設の建設や炭化水素資源の共同開発プロジェクトの推進に加え、国営天然ガス大手ガスプロムが日本国内にLNG受入基地や気化したガスのパイプライン網を建設する用意があることも明らかにした。ノーボスチ通信(電子版)が伝えた。

また、プーチン大統領は日本向けに電力を供給するため、ロシア国内に新たな発電所を建設したい考えも示した。現在、日ロ共同プロジェクトとして、極東ロシアのウラジオストクにLNG生産施設を建設中で、2016年末にも本格稼働を開始する予定。ガス供給能力は年間1000万トン超となり、その70%が日本に、残り30%が韓国に輸出される。

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三井物産、インドネシア財閥リッポー傘下の衛星放送IMTVに資本出資へ

三井物産<8031.T>は傘下のアジア・大洋州三井物産を通じて、インドネシアの華人財閥リッポー・グループのメディア部門であるインドネシア・メディア・テレビシ(IMTV)と資本提携することで合意した。IMTVは今年7月に「ビッグTV」の名称で有料衛星放送を開始する計画で、三井物産からIT(情報技術)分野での協力を得たいとしている。合意に基づいて、アジア大洋州三井物産はIMTVの株式5%を取得する。ジャカルタ・グローブ(電子版)が4月29日に伝えた。

取得額は明らかにされていないが、IMTVの払込資本金は850億ルピア(約8500万円)となっていることから、その5%は42億5000万ルピア(約4250万円)になる計算。IMTVは2年前に設立され、有料衛星放送を開始するための準備の一環として、昨年5月に通信衛星を打ち上げている。

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インドネシアのマンディリ・トゥナス・ファイナンス、6月に社債発行で50億円調達へ

インドネシア金融最大手マンディリ銀行傘下のマンディリ・トゥナス・ファイナンスは、今年6月に5000億ルピア(約50億円)相当の社債を発行する計画だ。ジャカルタ・グローブ(電子版)が4月29日に伝えた。

同社の目論見書によると、社債の期間は3年と4年となるが、表面金利については明らかにしていない。引き受け幹事社はマンディリ証券。5月30-31日に投資家に対し社債を募集し、6月7日にインドネシア証券取引所に上場するとしている。今回の起債は2年間で総額1兆2500億ルピア(約125億円)の社債を発行する計画の一環をなすもの。

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東急、ベトナム・ビンズオン省の大規模ニュータウンでマンション販売開始

東急<9005.T>とベトナム不動産開発大手ベカメックスIDC(Becamex IDC)の合弁会社ベカメックス東急は、2011年からベトナム南東部ビンズオン省のビンズオン・ニューシティに25兆ドン(約1180億円)を投じて開発中の大規模ニュータウン「東急ビンズオン・ガーデンシティ」で、先週末から1500戸のマンション住宅のうち、400戸の第1次販売募集を開始した。

マンションの専有面積は1戸当たり67-105平米で、1戸当たりの販売価格は12億8000万ドン(約600万円)から始まる。頭金30%で契約し、残金は7-9月期の住宅引き渡し時に支払うとしている。東急ビンズオン・ガーデンシティは、ビンズオン・ニューシティの約110ヘクタールの用地に建設され、2015年の工事完成後は7500件ものマンションや戸建て住宅、レクリエーション施設、商業施設が立地する計画。 (了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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