記事広告PR表記問題やネイティブアドの論争が不毛と思う理由
ここ一週間、記事広告タイトルのPR表記や広告表記の有無の問題の議論が盛り上がっているようです。
起点になったのは、バズフィードによる人気ライターのヨッピーさんインタビュー記事。
■「おもしろい広告」ってどうやって作るの?人気ライターのヨッピーさんに聞く
インタビュー自体は非常に良いインタビューだと思うのですが。
この記事中で、ヨッピーさんが「記事のタイトルにもPRと入れろ」という人達に対する反論をしている発言に刺激される形で、ウェブ業界では有名な編集プロダクションのノオトの宮脇さんがFacebookで同意する言及をしたことが発火点になっています。
まぁ、正確に言うと、元々は確か昨年末に誰かが、ヨッピーさんはなぜ自分の記事広告の件名にPR表記をいれないのだろう、という趣旨の問題提起をしたのがきっかけで、宮脇さんと、ネットウォッチャーとして有名なおおつねさんを中心にした人達が平行線の議論になったことがありまして。
今回、宮脇さんがヨッピーさんのインタビューに我が意を得たりと、再度Facebook上でおおつねさん達にとって批判的なコメントをしたことで再燃した、というのが正しい説明でしょう。
昨年末に議論になっていたときは、あくまでFacebook上のある程度つながりがある人達の間だけでの議論だった印象ですが。
今回の議論はヨッピーさんが議論についての回答を、わざわざブログに書いたことで話題が拡散。
やまもといちろうさんや清水さんを初めとしたネット界の論客がドンドン参戦してきた上に、本題とは関係ない話にまで騒動が拡がってカオスな状況になっているようです。
参考:タイトルに「広告」と入れるとアクセスが減るので困るという話
この問題に関しては、発言している人の立場が商業メディアの運営者や記事広告を収入源としているライターなのか、副業や趣味で情報発信している人や読者側の人間なのか、ヨッピーさんの記事広告を好きな人か嫌いな人なのかとか、職業や価値観など、人によってスタンスがそれぞれ違うことで問題を見る確度が違うので、議論がただでも混乱しやすい性質があるのですが。
今回は、それに「ギガが減る」という若者ワードが途中で飛び出したことで、余計に議論の混乱に拍車がかかってしまったようです。
参考:若者はみんな使っている? 謎のワード「ギガが減る」とは
また、ヨッピーさんのインタビュー記事を掲載したバズフィード自体が、3月に「BuzzFeedの広告は記事広告ではない」という一般人からすると良く分からない論理構造のタイトルの、自社記事広告の宣伝記事を投稿したことで、物議を醸していたことも少なからず影響しているでしょう。
一部のネットユーザーからすると、ヨッピーさん、バズフィード、宮脇さんという今回の発火起点関係者の全員が、記事広告タイトルに広告表記を入れない派、という惑星直列な状態だったことも、騒動の延焼に油を注いだ印象もあります。
なお、この問題に対する私の結論を書く前に、今回の論争に対する私の立ち位置を明確にしておくと。
私自身は今回の議論の中心になっている人達とは全員面識がありますし、それぞれの立場も良く分かっているつもりの人間です。
私自身も仕事で記事広告に携わることもありますから、そういう意味では、ヨッピーさんがインタビューで言いたかったことも、宮脇さんの立場や気持ちも、バズフィードがアピールしたかったポイントも、良く分かるつもりです。
一方で、私自身は10年以上アンチステマでやってきたつもりの人間なので、おおつねさんや、やまもとさん側の指摘のポイントも良く分かるつもりです。
もはや業界目線での議論には意味がない
でも、この議論についての結論は、もうとっくに出てると思うんですよね。
それを分かってもらうために、あえてこの記事を書く前に、昨日グーグルの広告ブロックに関する記事を書いたので、できればそちらを先に読んで頂ければ幸いです。
■なぜグーグルは自らの首を絞めかねない広告ブロック導入に踏み出すのか
とにかく、もうネット広告だからといって、各メディアが自分で自由にルールを決めて良い時代は終わってるんです。
いや、ネット広告だからこそ、自由にルールを決められる時代は終わってしまったと言った方が良いでしょうか。
業界全体が、ユーザーからも、広告主からも、社会からも不信感をもたれてしまっている段階なんですよね。
ネット広告に対する批判がここまで高まるにいたり、こうした広告を巡る議論において重要なのは、もはや「ユーザーがどう思うか」のただ一点です。
現在のインターネットにおいて、ユーザーを騙していると思われる行為にはリスクしかありません。
業界ルールとか、これまでのネット業界の慣行とか、そういうものが全否定されるかもしれないという現状では、個別のメディア側の都合とか思いとかは残念ながら一部のユーザーには聞いてもらえません。
宮脇さんやヨッピーさんを知ってる人なら、個別にはタイルで広告表記しなくても大丈夫、と思ってくれる人はたくさんいると思うんですけど。
テレビCMも、一人のツイッターユーザーから不適切だと指摘されて放映が中止になることがある時代です。
記事広告も、ユーザーが騙されたと感じたら炎上する可能性が十分ある時代なんです。
タイトルの文字数を使うのがもったいないとか、せっかく書いた記事が広告表記されているだけでクリックされずに読まれるチャンスももらえないのは悔しいとか、タイトルに広告表記がなくても記事の方にあれば分かるだろとか、メディア側や書き手側の考えや気持ちは個別の反論としてはあると思うんですけど。
「総論」としては、もし記事のタイトルに広告表記がないことで、ユーザーがタイトルを純粋な記事だと信じてクリックして記事に辿り着き、結果的に「騙された」と感じたら、ユーザーが怒って炎上する可能性があるわけで。
そこには広告主にとってのリスクが明確に存在するんです。
広告というのは表現の自由とかそういう話以前に、顧客に商品やサービスを好きになってもらったり買ってもらいたいから実施している行為なわけで、広告を実施することで顧客に嫌われるリスクが大きいなら最初から止めた方が良い行為でもあります。
だからこそ、テレビCMに関わる人達は1つのテレビCMを作る際に膨大なエネルギーをかけて議論をするんですよね
一部の人が強烈に不快感を持つ可能性がある行為というのは、今後どんどんリスクが高くなっていくはずで。
今日明日、記事タイトルの広告表記の有無だけで炎上する可能性はまだ低くても、将来的にはどんどんリスクが高くなるはずです。
記事を告知する際に発生する二重のリスク
特に、ヨッピーさんのような個人の人気ライターが、自分が書いた記事広告をツイッターとかで告知する行為には、二重のリスクがあります。
最近のツイッターには、記事の中身を読まずにタイトルだけで理解したと思い込むユーザーもたくさんいますから、ヨッピーさんが仮に「バズフィードの記事広告が凄すぎる」とか何かをベタ褒めした記事タイトルの記事広告を広告表記を入れずにツイートし、それが拡散して、ヨッピーさんのフォロワーがタイトルだけで理解したつもりになった場合。
「バズフィードの記事広告が凄すぎる【PR】」 と
「バズフィードの記事広告が凄すぎる」 だと
当然読者の受け取り方が違うわけですよね。
その際、記事広告の謝礼の中に、ヨッピーさんがツイッターで投稿してくれることを期待している金額が含まれていると考えると、当然このツイッターの投稿自体も宣伝広告行為と読者には受け止められることになり、広告としての関係性明示のない宣伝行為と受け止められるリスクがあるわけです。
だって、ヨッピーさんに記事広告依頼する人は、間違いなく本人の告知期待しちゃいますからね。
なにしろ、「うどんが主食」の人が飲食店に接待されてたことが文春にスクープされる時代です。
しかも、この文春の記事がヤフトピに出ちゃう時代なわけですよ。
参考:食べログレビュアー「うどんが主食」が「高評価飲食店」から過剰接待
私自身は、食べログ全く使わないので、「うどんが主食」氏の存在自体、今回の騒動で初めて知ったんですけど、これヤフトピに出てますからね。飲食店に接待されたことで、世紀の大罪人扱いですよ。
10年以上前に、自民党や当時の民主党がブロガー懇談会を開催した際に、出された弁当にお金を払うべきかどうかと言う議論が盛り上がり、当時は私もジャーナリストって大変だなぁとか他人事のように思ってましたけど。
情報発信するのって、それぐらい注意しないと何かの時に遡って、揚げ足をとられかねない職業なんですよね。
ヨッピーさんがちゃんとステマ回避をやっていても、多くのヨッピーさんのファンが「ヨッピーさんはちゃんとやっている」と思っていても、見る角度を変えたり、知らない人が見た際に「やらせだ!」と指摘されることがあること自体が、もはやリスクでしかなんです。
もちろん、実際の記事広告が面白ければ、ガッカリする人は少ないでしょうし、わざわざ企業にクレームを入れる人は少ないかもしれませんが。
結局、それは程度の問題でしかなく、誰かが怒って声を上げて、それが起点に炎上する可能性は当然あるわけです。
なので、もうこの議論で延々とどっちが正しいかとかFacebookで議論し合うのとか、時間の無駄でしかないと思うんですよね。
そういう意味では、ヨッピーさんが一連の議論を通じて記事広告と分かるように努力をする、と宣言したのは正しい判断だと思います。
これからはみんなタイトルにも広告表記入れましょう。
ようやく結論が分かったので、去年から無駄に長かったけど良い議論でしたよね。
以上議論終わり。
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で、終われれば、本当は簡単な話なんですが。
残念ながら、そう簡単に終わらないのが、この問題の根が深いところです。
(※すでにここまでで無駄に長い記事ですが、この後さらに無駄に長いですのでご注意下さい)
メディアが直面する広告表記のリスク
特にこの問題が難しいのは、宮脇さんのような編集を仕事にしている企業や、バズフィードのようなメディアがおかれている現実が、この総論の話でいきなり記事タイトルに広告表記を入れる、とシンプルに行くような状況では無い点です。
昨年末に、宮脇さんが議論の過程で言葉を濁さざるを得なかったために、まるで宮脇さんが業界の悪の象徴みたいに思い込んでいる人も、少なからずいるみたいですが。
本来ノオトの宮脇さんといえば、業界を健全化しようと積極的に活動している急先鋒です。
そもそも、一番最初にパクリメディアのBUZZNEWSを閉鎖に追い込んだの、ヨッピーさんと宮脇さんですからね。
参考:悪質“パクリメディア”の増長に歯止めを ノオト代表・宮脇淳
昨年のWELQ騒動の起点になった記事を書いた朽木さんも、今はバズフィードに移ったみたいですが、記事を書いた当時はノオト在籍のライターでした。
参考:医療情報に関わるメディアは「覚悟」を - 問われる検索結果の信頼性
本来、宮脇さんって、業界健全化に一番努力している人の一人なんです。
めちゃめちゃ真面目にメディアに取り組んでる人なんですよ。
みずから自分達のことを「戦うコンテンツメーカー」と表現してましたから。
それでもやっぱり、宮脇さんがヨッピーさんのように記事タイトルに広告表記を入れることにする、と即答できないのは、現実問題として記事広告に広告表記を入れれば、事業に明確にネガティブな影響がでるのが見えるからだと思います。想像ですけど。
そもそも広告表記を記事タイトルに入れれば、どう考えても記事のクリック率は下がります。
どんなに面白い記事広告を書いたところで、記事を読んでもらえなければ分かってもらえないわけで、機会損失があることは明白です。
おまけに記事広告の効果は、一般的には閲覧数であるページビュー数が一番広告主から注目されます。
本当の広告効果を考えると、広告表記のない記事タイトルをクリックして、記事広告と気づいて速攻帰る人とか、記事を見た数にカウントしても広告効果としては全く意味ないはずなんですけど、それでも1PVにはなるんですよね。
本当に真剣に広告効果を考えると、広告表記のない記事タイトルをクリックして、記事広告と気づいて腹が立ってその広告主を嫌いになる人が発生することを考えたら、実は騙してクリックさせることにはリスクすらあるはずなんですけど、今の効果測定ではそんな数値取れないんで、多くの広告主や広告代理店は気にしてないわけです。
もう気にしないと本当ヤバい時代になってきてると思うんですけど、まだまだネットの記事広告なんてその程度の存在という企業が多いんですよね。
そうすると、とにかく記事タイトルをクリックする人が一番多い記事広告が成果が高いということになってしまうので、記事タイトルに広告表記を入れるのは当然最も避けたい行為になってしまいます。
さらにやっかいなのは、それによって記事広告案件を失注するリスクが増える現実です。
残念な話ですが、やっぱり、記事広告に広告明記をするポリシーがあるというだけで、広告の出稿候補から明確に落とされてしまうケースって、まだまだあるんですよね。
だって、未だに広告と分からないように記事書いてください、というステマ依頼がライターの方々に来ることがあるレベルなんですよ。
まだまだ水面下では、懲りずにステマをやってる人達が明らかにいるわけです。
ステマに比べれば、違法でないのであれば記事タイトルに広告表記入れないぐらい良いじゃないかと、誰もが思ってしまうわけです。
今のところ、それで炎上したケースはないわけですし。
そうなると、ヨッピーさんや宮脇さん達のような、一部の真面目なメディアが広告表記を記事タイトルに入れるという判断をすると、実は広告の開示ポリシーの悪いメディアの方に仕事が流れてしまうというリスクが明らかにあるわけです。
記事広告の収入で生活をしている人にとっては、これ、明らかに死活問題ですし、短期的には実は業界健全化にも悪影響があるリスクもあるんですよね。
もちろん、すでに記事タイトルに明確に広告表記入れてるメディアも何社かはあるので、そこは勇気を持ってやってみれば良いだけの可能性はあるんですが。
社員を養う立場になったら、そう簡単に明日からやりますと言える話ではないんですよね。ヨッピーさんですら「媒体ごとの方針もあるので今後全部ってわけにはいかないかもしれない」と明確に書いているわけで。
真面目にやったメディアほど儲からなくなって、文字通り悪貨が良貨を駆逐する、という状態になりかねないわけです。
なので、この問題は、最終的には業界全体でユーザーが納得するレベルまで基準を上げ、その基準を守っていない人達に仕事が行かない、という構造を作るまでやらなければ解決しないというのが現実だと感じてます。
読者視点からツッコミどころがあるのは分かるんですけど、宮脇さん達が直面している現実も理解してあげていい話のはずなんです。
一番問題なはずの手法が議論の対象にならない矛盾
ここでポイントになる要素を並べると、こんな感じでしょう。
【記事広告1:最終的な理想像】
◯A:記事広告の記事タイトルに広告表記がある
◯B:記事広告の記事自体に広告表記がある
◯C:記事広告だけどただの宣伝記事ではなく面白い
まぁ、Aに関しては、必ずしも記事タイトルに広告表記をしなくても、記事に誘導する際に広告表記があることが本質なので、バズフィードみたいなイマドキのサイトだと、記事一覧に「Sponsored by」の表記を入れるとか技術的な対応方法は増えてるんですけど。
ここでは話をシンプルにするためにタイトルとします。
今回問題になったのは、Aの広告表記は×だけど、BとCは◯のパターン。
【記事広告2:ヨッピーさん達の記事広告】
× A:記事広告の記事タイトルに広告表記が無い
◯B:記事広告の記事自体に広告表記がある
◯C:記事広告だけどただの宣伝記事ではなく面白い
ヨッピーさんの記事広告は面白いんだから、記事広告の記事タイトルで広告表記しないでも良いじゃない、というパターンですね。
一番最初に宮脇さんとおおつねさんが議論になったのもここです。
おおつねさんからすると、Aで広告表記をしていない時点で「読者を騙している」
宮脇さんからすると、Bで広告表記をしているから「読者を騙していない」
この立ち位置のズレが、ここまで尾を引いてるわけです。
あくまで騙してるか騙してないかは、どちらの視点から見るかなので、どちらも正しいと言えば正しいんですが、やっぱりタイトルだけで騙されたと思う人がいるから宮脇さんの言い訳は苦しい、というのが前段の話です。
でも、この「記事広告2」って、今の広告業界の現実の中では、実はマシなパターンなんですよね。
一昨年のステマ騒動の際に、記事広告でも面白ければ広告表記なんか無くて良いじゃないかと開き直った人がいましたが、それは以下のパターン。
【ステマ1:面白ければ広告表記はいらないと開き直りステマ】
× A:記事広告の記事タイトルに広告表記が無い
× B:記事広告の記事自体に広告表記が無い
◯C:記事広告だけどただの宣伝記事ではなく面白い
でも、これは明らかにステマです。
さらに世の中にはこの3つのポイント全部×のやつも潜んでるはずなんですよね。
【ステマ2:面白くもない上に広告表記もない典型的ステマ】
× A:記事広告の記事タイトルに広告表記がある
× B:記事広告の記事自体に広告表記がある
× C:ただの提灯記事
もっとも最悪のやつです。
ノンクレジット広告とか、いかにも正当な広告メニューのように呼ばれていたやつのほとんどがこれでした。
でも、ここで難しいのは、「ステマ1」と「ステマ2」は表面上は広告表記がないから、内部告発が無い限り分からないので、今回みたいな騒動の時に話題にならないという点です。
そういう意味では、内部告発を軸に、やまもといちろうさんがサイバーエージェントのステマを指摘し、サイバーエージェントが謝罪をするというのは、非常に画期的な出来事だったんですよね。
参考:サイバーエージェントなど特定企業の社員が違法なネイティブアドビジネスにぶっこんでいる件で
悪質なやつは、その後も水面下のさらに深いところに潜って、やまもといちろうさんですら見えないところに逃げようとするわけです。
だから、ヤフーがステマの告発を募集せざるを得なくなるんですよね。
参考:ステマの営業を受けた広告主さん、Yahoo!ニュースではステマ情報のタレコミを募集中です!
「記事広告2」を選択した人達は、ステマはやらないと決めている人達ですが、タイトル部分についてはいろんな理由から表記していない人達。
でもこの人達は、記事本文に広告表記があるから簡単に見つけられるので、今回のように外部から指摘がしやすいんですよね。
そうすると、なぜか宮脇さんもヨッピーさんもバズフィードも、本来は業界健全化のためにステマを撲滅しようと努力している側の人達なのに、同じくステマを撲滅したいはずのおおつねさんや、やまもといちろうさんから突っ込まれる側になってしまうわけです。
宮脇さんやヨッピーさんが、おおつねさんと喧嘩して。
どっちもどっちの泥仕合を延々と繰り返し、見ている側からすると良く分からない状況になると。
両方悪い人のように見えちゃうわけですよ。
喧嘩両成敗とは良く言ったもので。
ヨッピーさんと高広さんが、ネイティブアドガイドラインのハンドブックで揉めたときも同じでした。
明らかにあの小競り合いで、一部の人から見ると、ネイティブアドガイドラインの位置づけ自体の印象が傷ついてしまうわけです。
ヨッピーさんも高広さんも、ステマを撲滅したい側の人のはずなのに。
今回の騒動でも、宮脇さんもヨッピーさんも、バイラルメディアやコピペメディアを糾弾する側のはずだったのに、おおつねさんと2人が揉めると、一部の人からは「なんか宮脇もヨッピーも、結局バイラルメディアの連中と変わんないんじゃね?」とか、なりかねないわけですよ。
宮脇さんもヨッピーさんもおおつねさんも、本来はステマやコピペメディアを撲滅したい側の人のはずなのに。
ここで得しているのは、誰か分かりますよね。
そう、ステマをやってる連中です。
ステマ撲滅に努力している業界人が、ネットユーザーから糾弾されて炎上することで、結局ステマ事業者が、「あいつらも炎上してるからあいつらは影響力ないんですよ」とか言い放てる構造になるわけです。
不毛な議論をしている場合じゃないのでは
私個人は最終的には、記事タイトルには広告表記をした方が良い論者ですが。
今はそんな細かいところで、長々と喧嘩してる場合じゃないと思うわけです。
相手の言い方が気にくわないとか、相手の発言の揚げ足とって、なんとか議論に勝とうとか、Facebookのコメント欄で喧嘩してることをわざわざブログに晒して、味方の援護呼んだりしてる場合じゃないと思うわけです。
まず日本で一番最優先で撲滅しないといけないのは、ステマやコピペメディアのはずなんですよ。
米国ではFTCが明確にステマを違法と認定しているので分かりやすいですが、日本ではその法規制がないために、ステマをまだ平気でやっている人達がいるのが実情です。
今流行のインスタグラマーとか、記事タイトルというものが存在しないですからね。
ルールもカオスなわけですよ。
事業者事に独自ルールが存在していて、ユーザーからすると分かりづらい宣伝ポストや、全く広告表記のないステマ投稿が溢れてるそうです。
だから米国ではFTCが明確にセレブのインスタグラム利用に注意喚起してるわけです。
コピペメディアにしても、WELQ騒動を対岸の火事のようにうけとめて、一層分かりづらいコピペに走ってるメディアがまだあるわけです。
その結果、本来正しく広告収入が得られるはずの真面目にやっているメディアにお金がまわらず、質の低いメディアばかりが乱立してしまってるわけです。
結局ステマがはびこってる間は、表面上見える範囲をどれだけ健全化しようと喧嘩したところで、水面下で悪いことやってる連中がほくそ笑むだけだと思うわけです。
本来は、ステマを実施したらとんでもないリスクがあると広告主に分かってもらい、ステマを提案するような事業者が来たら広告主が怒って門前払いされ、ステマをやってるメディアは当然のように広告出稿リストから外されて業界から退場をくらうぐらいの世界をまずは目指さないといけないと思うわけです。
ほんと、お願いなので、皆さん目を覚まして欲しいです。
ウェブ業界の編集プロダクションの良心である宮脇さんが期待されているのは、今の記事広告の現状を擁護することではないと思うんですよ。
現時点では拙速に踏み切れないかもしれないけれど自分でも問題があると感じている、広告主や広告代理店の記事広告に対する意識を変えるための努力をすることだと思うんですよ。
おおつねさん達と議論が平行線になったことを根に持って、ヨッピーさんの記事をネタに、味方になってくれるはずの人達に皮肉書いてる場合じゃないと思うんですよ。
Facebookの議論がここまで晒されるのは予想外だったと思いますし、メディア事業に人生や生活をかけているわけでもない人達に、業界の現状も知らないであーだこーだ言われるのが、心底ストレスがかかるのは私も良く分かります。
でも、宮脇さんなら分かってくれると思って指摘してる人達もいると気づいて欲しいんですよ。
今すぐ業界の慣習を変えるのは難しいけど、できる範囲で頑張る、だから苦しい事情も分かってくれ、と本音でぶつかってほしいわけですよ。
ライター業界のカリスマとして注目されているヨッピーさんが期待されているのは、手近な人とのFacebook上での喧嘩をネタにすることではないと思うんですよ。
PCデポとかSpotlightの騒動で見せてくれたように、ヨッピーさんでなければ突き止めることができない表に出てこない事実を、白日の下にさらしてくれることだと思うんですよ。
おおつねさんとか高広さんとかとFacebook上で平行線の議論になったことをネタにして、ステマ問題で味方側にいるはずの相手をからかってる場合じゃないと思うんですよ。
アドテック関西の会場で味方同士でケンカするのはやめてくださいってお願いしましたよね。そりゃ会ったこともない相手に議論ふっかけられて、挑発されて、当惑したり、ムカついたりするのは私も良く分かります。
私も、暴言吐いてきた相手の職場突き止めて会社に連絡してやりたいとか、警察に通報したいとか、ドス黒い思いが湧いてくることは良くあります。
でも、ヨッピーさんがやるべきことは、1人1人の反論に対して直接反論して説得しようとすることじゃなくて、ヨッピーさんが理想としている広告のあるべき姿を実践して背中で語ることだと思うんですよ。
広告だけど、何が悪いの?面白いでしょ?記事広告だからこそここまで面白い記事書けるんだよ?って孤高の存在でいて欲しいわけですよ。
記事広告も書いてちゃんと収入も入るから、PCデポとかSpotlightとか温泉記事とか、1円の利益にもならないけど書くべきだと思う記事に魂燃やせるんだよ、と証明して欲しいわけですよ。
ライターを志す若者が、目指したくなる存在でいて欲しいわけですよ。
おおつねさんもおおつねさんですよ。
ネットウォッチャーのotusne神としてみんなにウォッチされてるおおつねさんが、宮脇さんとかヨッピーさんの本能的に本質的なことを回避しようとした防御姿勢がスルーできないのは良く分かりますけど。
おおつねさんには、Facebook上の知り合い同士の喧嘩とか、そんな誰でも観測できるような分かりやすいところに油を注ぐことじゃなくとかじゃなくて、水面下に潜ってのうのうとステマを続けてる連中をウォッチする方をやってほしいわけですよ。
ネット上の議論慣れしてない宮脇さんとかヨッピーさんとかつかまえて、ありとあらゆる手段使って、2人を追い込む必要ないと思うわけですよ。最初からこの議論終わってるわけですから。
まぁ、ヨッピーさんが今回の騒動で方針を変えてくれたのはおおつねさんの手柄だと認めますけど。
おおつねさんなら、ツイッターの発言削除から裏垢発見できるツールとか作れちゃうわけでしょ?
ネットメディアの記事がステマ記事かどうか測定するツールとか、コピペ記事を未だに作ってる会社が分かるツールとか、サクッと作ってくださいよ。
おおつねさんには、平気で人のアイデア完コピする会社とか、未だに平気でコピペメディア作る会社とか、本当に悪い企業に天罰をくだす、ネット界の神でいて欲しいわけですよ。
ほんと、くどいんですけど、お願いなので、皆さん目を覚まして欲しいです。
個人的には1人1人尊敬している人が、議論で相手に勝つためだけの無駄な議論に延々とエネルギー浪費して、あいつも所詮この程度だったなとかツイッターとかブクマとかで言われてるの横目で見るの、本当に悲しいんですよ。
前向きな議論なら分かるんですけど、皆さんがしてるの、ただの平行線の喧嘩ですよね。皆さんの評判が、それぞれの相手のファンの間で下がっちゃうだけなわけですよ。
ぼくらが今こうしてネット上で自分の意見を聴いてもらえたり、好き勝手議論できているのって、インターネットとかブログとかソーシャルメディアのお陰じゃないですか。
去年の様々な騒動の影響で、やれネットメディアは質が低いだの、インターネットはステマばかりだの、フェイクばかりだのとあること無いこと言われてるわけですよ。
今年は本当に日本におけるネットの価値を考える上で大事な年だと思うんですよ。
ライブドア騒動のころにどん底になったネットの信頼性がようやく変わってきたところだったのに。
またWELQ騒動でネットの信頼性が叩かれているわけですよ。
本来なら一緒にステマ事業者とかコピペメディアとか撲滅する方にエネルギーを使うべきところで、双方の小競り合いで自らネットの悪い方の姿を積極的にさらしてしまってると思うんですよ。
そもそも、Facebookのコメント欄とかツイッター上の議論とかで、相手の説得できることなんてほとんどないわけですよ。
所詮ほとんどの人間は、自分の主張を言いたいだけで相手の話なんて聞くつもりないんですから。
こんなに大勢の人達の時間とギガを無駄遣いしてる場合じゃないと思うんですよ。
なんだか知らないけど、この記事を書きながら本当に泣けてきてしまって、自分でもビックリしたりするわけですよ。
本当に悔しいんですよ。
こんな土曜日の朝から、子ども達がポケモンのアニメ見てる横で、なぜか鼻をすすりながらこんな虚しい記事書くのにエネルギー使いたくないわけですよ。次男と今日も電車で遠出する予定だったのに、もうなんだかんだお昼ですよ。
息子たちから、ニンテンドースイッチはいつ手に入るんだと毎週のように攻められる問題の方が、よっぽど我が家では深刻な問題なんですよ。
どうせ、ここまでエネルギーかけてこの記事書いたところで、ほとんどの人には長すぎて最後まで読んでもらえないでしょうし、一部の人からは、徳力もどうせ広告で稼ごうとしてる会社なんだからポジショントークだろ、とか、倒産しろ、とか、取引するな、とか、無駄に長い、とか言われるのが目に見えているわけです。
うちのスタッフが、お客さんとかパートナー企業の方々に打ち合わせで「徳力さん、また炎上してますね、大丈夫ですか」とか言われるのが目に見えるわけです。
ブログを書くことで、会社やスタッフには迷惑しかかけてなくて本当ブログ書くの躊躇するんですよ。
こうやって宮脇さんみたいに広告側の人間になると、ネットユーザーから金儲けと批判されるのが目に見えるから、友人であるはずのブロガーを商品として扱う会社に入ることで友人との関係が変わってしまうのが目に見えるから、10年前に今の会社に転職するよう誘われたときに三回も断って、最後号泣してしまった話とか走馬灯のように思い出してしまうわけです。
でも、やっぱり、インターネットやブログに人生救われた人間としては、偽善者と言われようが、ポジショントークと言われようが、やっぱりぼくらのインターネットを良くするために、何か恩返ししないといけないと思うわけです。
去年の騒動を踏まえ、今年はこれからの日本のインターネットとかネットメディアにとって、本当に大事な分岐点になると真剣に思ってます。
もちろん、記事広告のタイトルに広告表記を入れるかどうかと言う議論も、大事な議論の1つではあると思います。
ただ、私達が今本当に考えるべきは、私達にとって良いネットメディアにがんばってもらい、害のあるネットメディアに退場してもらうにはどうすれば良いか、という議論なのではないかと思うんです。
あるべき姿を誤解している人達に目指すべき姿を論理的に理解してもらい、どうやればもっと日本のネットを楽しい場所にしていけるのか、もっと前向きに議論することだと思うんです。
と言う意味で、個人的にこの記事で本当に議論したかったのは、バズフィードが提示していた記事広告とネイティブアドやスポンサードコンテンツの違いの話だったのですが。
昨晩から今朝にかけて書き続けた結果、いつもよりもさらに異様に無駄に長い長文になってしまいましたので、今日のところはこの辺で。
私がこのYahoo個人ニュースの枠をブログ代わりに使わせて頂いて書いていきたいのは、どうすれば企業の方々が無用な炎上が避けられるか、とか、インターネットとかソーシャルメディアの良い方の可能性を多くの人に知ってもらえるか、ということですので。
知り合いの方々の喧嘩を分析したり、自分語りをすることになるのは、これが最後になることを祈って筆を置きたいと思います。
皆さんのギガを無駄な長文で減らしてしまったことを、深くお詫び致します。