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イベントも充実!“秋ならでは”の鉄道の楽しみ方

伊原薫鉄道ライター
大型クレーンで電気機関車を吊り上げる。迫力のシーンに大人も大興奮だ

 スポーツの秋、読書の秋…気候が過ごしやすく、夜も長くなるこの季節、人によってさまざまな「秋」があることだろう。実りの季節であることから言われるのが食欲の秋、食べ過ぎに気をつけなければ…という人も多いだろう。

 ところで、鉄道ファンにとって秋はとても忙しい季節である。多くの鉄道会社が10月にイベントを実施するからで、「今週末はどこのイベントに行こうか…」と頭を悩ませる人も多い。

◯10月に鉄道イベントが多いワケ

叡山電鉄の「えいでんまつり」ラッピング車両と記念撮影ができる
叡山電鉄の「えいでんまつり」ラッピング車両と記念撮影ができる

 そもそも、なぜ10月に鉄道会社のイベントが多いのだろうか。それは、10月14日が「鉄道の日」と定められているからである。1872(明治5)年10月14日に、日本初の鉄道が新橋〜横浜間で開業したことにちなみ、1922(大正11)年に「鉄道記念日」として制定。ちなみに、1872年は日本で改暦が行われた年であり、新橋〜横浜間の開業日は当時の日付でいうと9月12日だった。

 「鉄道記念日」は、もともと国有鉄道を運営する鉄道省(当時)が決めたもので、私鉄ではあまり一般的ではなかったが、1994(平成6)年には運輸省によって「鉄道の日」と改称され、私鉄も含め広く周知されることになった。

 そして、この「鉄道の日」に合わせた記念行事として、10月には多くのイベントが開かれる。もっとも有名なのは、東京・日比谷公園で開かれる「鉄道フェスティバル」。第24回となった今年は10月7〜8日に開催され、首都圏はもちろん全国からさまざまな鉄道会社が出展。オリジナルグッズをはじめ、鉄道車両の解体部品を目当てに、早朝から多くの鉄道ファンがつめかけたほか、ステージイベントなども大いに賑わった。

 このイベントは残念ながら既に終了してしまったが、関西では10月15日に大阪・天王寺公園「てんしば」で「駅祭ティング2017」を開催。こちらは23の鉄道事業者が一堂に会し、グッズ販売やゲストステージ、ゆるキャラの記念撮影などが行われる予定だ。

JR貨物広島車両所では、保存されている貴重な機関車の展示も(写真は昨年の様子)
JR貨物広島車両所では、保存されている貴重な機関車の展示も(写真は昨年の様子)

 また、鉄道会社ごとに行われるイベントもこの時期は充実。例えば小田急では、10月21〜22日に海老名車両基地とその周辺で「小田急ファミリー鉄道展2017」を開催。西武鉄道は11月11日に「西武トレインフェスティバル2017」を横瀬車両基地で、東武鉄道は11月19日に「東武ファンフェスタ」を南栗橋車両管区で開催する。これ以外に東京メトロ、京成電鉄、関東鉄道、都電荒川線、千葉モノレールなど、関東だけでも多くの鉄道イベントが予定されている。関西でも大手5私鉄(阪急、阪神、京阪、近鉄、南海)をはじめ、大阪市営地下鉄や山陽電鉄、叡山電鉄などが10月から11月にかけてイベントを予定。ただし、一部のイベントは事前申し込み制となっているので、注意が必要だ。

◯大型クレーンや洗車機など、迫力満点のイベント

阪急電鉄の工場公開。車両に乗って洗車の様子が体験できる企画は毎回人気だ
阪急電鉄の工場公開。車両に乗って洗車の様子が体験できる企画は毎回人気だ
電車の行先表示をランダムに動かして行うビンゴ大会など、個性豊かな企画も見られる
電車の行先表示をランダムに動かして行うビンゴ大会など、個性豊かな企画も見られる

 「鉄道フェスティバル」や「駅祭ティング」は、どちらかと言えば鉄道会社のPR的な側面が強く、また内容もグッズなどの物販やステージイベントが主となる。これに対し、鉄道会社が自社の車両基地や工場で行うイベントは、実物の鉄道車両が展示されたり、工場での修理の様子が見られたりと、迫力十分。中でも、大型クレーンを使って車体を移動させる実演や、車両に乗って洗車機をくぐる体験などは、どこの鉄道会社でも大人気だ。

 また、工場では台車やモーター、制御機器など“電車が動く仕組み”が学べたり、パンタグラフや行先表示などを自分で動かしてみたりといった体験も可能。鉄道会社によっては、マイクを握って車内放送ができたり、電車を自分の手で動かせる運転体験のできるところもある。まさに、1年に1度だけのスペシャルな体験ができるのだ。

 これ以外にも多くの鉄道会社が車庫や工場を公開しているので、皆さんも機会があれば、日頃使っている鉄道の“ウラ側”を覗いてみてほしい。

◯3日間有効の「秋の乗り放題パス」で小旅行へ!

 最後に、この時期ならではのきっぷをご紹介しよう。それは「秋の乗り放題パス」。JR全線の普通列車などが乗り放題となるきっぷで、夏休みなどに販売される「青春18きっぷ」の特別版とも言える。「青春18きっぷ」と違うのは、「秋の乗り放題パス」は10月22日までの連続する3日間を一人で使う、という点。「青春18きっぷ」のように、複数人で一緒に使うことができないので要注意だ。

 逆にメリットは、子供料金が設定されていること。3日間で大人7,710円、子供3,850円となっているので、無理に3日間フルに使わなくても、1泊2日の旅行に使うのもオススメだ。例えば、このきっぷを使って遠い所の鉄道イベントに親子で参加、というのはいかがだろうか。

 車窓からの景色が美しく、沿線の食も充実するこの季節、ぜひ“秋ならではの鉄道旅”も楽しんでみていただきたい。

鉄道ライター

大阪府生まれ。京都大学大学院都市交通政策技術者。鉄道雑誌やwebメディアでの執筆を中心に、テレビやトークショーの出演・監修、グッズ制作やイベント企画、都市交通政策のアドバイザーなど幅広く活躍する。乗り鉄・撮り鉄・収集鉄・呑み鉄。好きなものは103系、キハ30、北千住駅の発車メロディ。トランペット吹き。著書に「関西人はなぜ阪急を別格だと思うのか」「街まで変える 鉄道のデザイン」「そうだったのか!Osaka Metro」「国鉄・私鉄・JR 廃止駅の不思議と謎」(共著)など。

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