今さら聞けない「H3」ってどんなロケット?日本の宇宙開発を担うH3を徹底解説!
2月17日、打ち上げに成功したH3ロケットは日本の宇宙開発史に新たな1ページを刻みました。
本記事では、良くニュースになってるけど「H3」って一体どんなロケット?という方により詳しく解説していきたいと思います。
H3ロケットが描く将来打ち上げ計画、増強型H3ロケットとは?
■H3はどんなロケット?
H3の構成は大きく分けると、最も推力の大きい第一段エンジン、その次に大きい第二段エンジン、そして、ロケットの周りに取り付けられているブースター、先端に衛星などを搭載するフェアリング、があります。持っていく荷物や到達する軌道によりエンジン数とロケットブースターの本数が異なり色々な組み合わせがあるんですね。
今回のH3ロケット2号機の打ち上げ形態は22S型というタイプになります。最初の2はメインエンジンの個数です。JAXAの発表によると、今のところ、メインエンジンは2基か3基を選択できるようです。次の2は、固体ロケットブースターの数です。最大で4個のブースターを取り付けることができます。そして、Sはフェアリングが全長約10.4メートル、直径約5.2メートルのショートタイプであることを示しています。
■H3の心臓部であるエンジンを紹介!
第一段エンジンには、先ほどご紹介した「LE-9エンジン」が搭載されています。
LE-9エンジンを詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください
続いて、第二段エンジンは「LE-5B-3エンジン」です。こちらもH2Aで使用されていたものの改良型で、三菱重工業が製造しています。液体水素ターボポンプの改良により、エンジンの耐久性を上げると同時に、液体水素と高温の水素ガスを混ぜるミキサーの改良によりエンジンの燃費を改善させています。
次はロケットブースター「SRB-3」です。IHIエアロスペースが製造をしており、H-IIAで使用されていた「SRB-A」の改良型になります。大きさはほとんど同じすが、推進薬の量が1トンほど増えており、打ち上げ能力が増強されています。最大で4基のブースターを取り付けることができます。
■衛星を保護するフェアリング
最後はフェアリングです。フェアリングとは、ロケット打ち上げ時にペイロードを振動や音響、風圧や空力加熱、空気との摩擦熱から衛星を保護するために、ロケット先端に取り付ける部分のことです。ロケットが大気圏外に達した後、左右に2分割して衛星を分離します。今までは先端が直線的なコーン形状でしたが、H3ではより優れた空力形状とするため、滑らかな曲線の形状になりました。
H3ロケットのS型以外にも、全長16.4mの「ロング」、ロングの直径を5.2mから5.4mに拡大した「ワイド」という3種類のサイズがあり、搭載する衛星の大きさなどによって使い分けられます。また、H3のフェアリングではロング形態の下部を外すとショート形態にも換装でき、コンポーネントを共通化することで打ち上げの柔軟性の確保、開発費の削減に貢献しています。
H3ロケットの主開発担当メーカーは三菱重工業ですが、このフェアリングの開発は川崎重工業が担当しています。同社は1993年に納入したH−IIロケット用フェアリングをはじめとして、H-IIロケット7機、H−IIAロケット48機、H−IIBロケット9機と、合計61機分のフェアリングを製造してきました。また、イプシロンロケットのフェアリング6機分の製造もしており、現在は国内唯一の衛星フェアリング製造企業として活躍しているのです。
一つのロケットでも、一社で製造しているのではなく色んな企業が協力して製作しているんですね。川崎重工についてはバイクのイメージが強いと思いますが、ロケットのフェアリング以外にも防衛用戦闘機やミサイルなど色んな分野に関わっています。ちなみに、三菱重工業、IHI、川崎重工、の宇宙業界重工さん社は合わせて「御三家」と呼ばれています。
H3ロケットがこれから日本の宇宙開発をどのように盛り上げてくれるのか、これから非常に楽しみですね。
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