JAXA「H3ロケット」が宇宙に届けた3つの荷物とは?打ち上げ成功に続くミッションを紹介
2月17日、JAXAの新型国産ロケット「H3」の打ち上げが見事成功となりました。これからの日本の宇宙開発が加速されていくのが楽しみですね。
本記事では、H3ロケット2号機に搭載された3つの荷物、そしてそれらの搭載が決まるまでの変遷をご紹介していきます。
H3ロケット打ち上げ成功!日本の宇宙開発の使命を背負い宇宙へ!
■H3搭載予定の衛星が途中で変更!?
まず、当初H3ロケット2号機は地球観測衛星「だいち4号」が搭載されるはずでした。しかし、H3ロケット1号機の打ち上げ失敗により、地球観測衛星「だいち3号」を失ってしまったことから、H3 2号機に実用衛星を搭載することに対して様々な議論が行われてきました。
特に、H3 2号機も失敗しだいち4号を失ってしまった場合、日本の観測や防災の観点で深刻な空白期間ができてしまうということが懸念されます。現在運用中の「だいち2号」が故障してしまった場合、自国の衛星による地球観測自体ができなくなってしまい、常に海外や民間企業に日本の観測を頼らざるを得なくなってしまうのです。そのため、だいち4号の搭載は見送られることとなりました。
■実用衛星の非搭載と、小型衛星の公募
その代わり、ロケット性能を確認するためのペイロード「VEP-4」を搭載する方針となります。VEP-4はH3 1号機に搭載されていた「だいち3号」と同等の質量の金属の塊であり、1号機ではできなかった衛星分離機能の実証を行います。
一方で、JAXAはH3ロケットの空きスペースに搭載する相乗り小型衛星を搭載することを発表しました。もちろん、たとえ打ち上げが失敗し衛星を失ったとしても、JAXAは補償しないという約束のもとです。そのため、応募する側もリスクを承知の上で衛星を搭載する覚悟が必要です。それでは、2機の小型衛星をご紹介していきます。
■キャノン電子「CE-SAT-1E」
まず一つ目は、キャノン電子株式会社の衛星CE-SAT-1Eです。CE-SAT-1Eは縦横50cm、高さ80cm、質量約70kgの小型衛星で、80cmの分解能で地球を撮像することが目的です。これらの画像データをもとに、災害時の緊急観測、地理空間情報整備、3D都市データ作成研究などに貢献します。更に、静止画、8K動画での撮影が可能で、地表のみならず、天体や宇宙物体も撮影することができます。
実はキャノン電子株式会社は既にCE-SATの1から3号機を打ち上げており、数々の実証に成功しています。今回の4号機が地球の観測画像を宇宙から送ってくるのが楽しみです。
■宇宙システム開発利用推進機構「TIRSAT」
続いて二つ目の衛星は、TIRSATです。TIRSATは内閣府と経済産業省が所管する、宇宙システム開発利用推進機構という財団法人が中心となり開発しています。
TIRSATは縦横12cm、高さ38cmと非常に小さな衛星です。赤外センサーを搭載しており、地球上の工業地帯の工場稼働状況などを観測することができます。これにより、コロナウィルスの感染拡大などにより寸断リスクのある世界の生産地域に対して、迅速な情報収集に役立てることができます。
実はTIRSATは元々開発が完了していましたが、昨今のウクライナ情勢により打ち上げ機会が確保できていなかったという背景があります。今回あきらめることなく打ち上げることができて本当に良かったですね。
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