2022年時点で1693.2万世帯…高齢者世帯数の推移をさぐる(2023年公開版)
高齢化社会の到来とともに、高齢者がいる世帯の実情が注目を集めている。中でも高齢者世帯(高齢者のみ、あるいはそれに18歳未満の未婚の人がいる世帯)の動向は、社会的な孤立やトラブル発生時の対応などを考えると、大いに気になるところ。その実情を厚労省の国民生活基礎調査(※)の結果から確認する。
この「高齢者世帯」の具体的な世帯数構成とその推移を示したのが次のグラフ。直近の2022年においては、男性のみ世帯数が1.00とすると、女性のみ世帯数は1.78、夫婦(ともにお年寄り)のみ世帯が2.41の割合となっている。なおグラフ中の注記は無いが2012年分は福島県では未調査となっているため、その分の値は除外されている。また2020年分は新型コロナウイルス流行の影響で調査そのものが行われておらず、値が存在しない。
この40年近くの間(1986~2022年)に高齢者世帯数そのものは7.17倍、男性のみの単身世帯に限れば12.76倍にまで増加した計算になる。増加率は男性単身世帯の方が大きいが、絶対数は女性単身世帯の方が1.80倍ほどで、559万2000世帯にもおよぶ。これはひとえに女性の方が寿命が長いことによるものである。特に「夫婦のみ世帯」で配偶者に先立たれ、単身世帯になる人において、その傾向が強いと容易に想像できる
女性の長寿命を別の視点で確認できるのが次のデータ。男女それぞれの高齢者単身世帯における、年齢階層構成比を示したものだが、明らかに男性よりも女性の方が高齢化が著しい。
例えば80歳以上で区切ると、男性は27.1%・女性は44.7%と、17.6%ポイントの開きがある。一人暮らしをしている高齢者のうち、男性はおおよそ4人に1人・女性は5人に2人が80歳以上と表現を変えてみると、一人暮らしのお年寄りのリスクの高さが改めて認識できる。
高齢者世帯の増加に伴い、バリアフリーに関する問題、買物困難者に代表される社会生活上のインフラの対応、そして健康管理など、多様な問題が表面化し、トラブルの増加が容易に想像される。各種対策が急務であることはいうまでもない。
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※国民生活基礎調査
今調査は全国の世帯および世帯主を対象とし、各調査票の内容に適した対象を層化無作為抽出方式で選び、2022年6月2日に世帯票・健康票・介護票、同年7月14日に所得票・貯蓄票を配ることで行われたもので、本人記述により後日調査員によって回収され、集計されている(一部は密封回収)。回収の上集計が可能なデータは世帯票・健康票が20万3819世帯分、所得票・貯蓄票が1万9140世帯分、介護票が5499世帯分。今調査は3年おきに大規模調査、それ以外は簡易調査が行われている。今回年(2022年分)は大規模調査に該当する年であり、世帯票・健康票・介護票・所得票・貯蓄票すべての調査が実施されている。
また1995年分は阪神・淡路大震災の影響で兵庫県の分、2011年分は東日本大地震・震災の影響で岩手県・宮城県・福島県(被災三県)の分、2012年は福島県の分、2016年は熊本地震の影響で熊本県の分、2020年は新型コロナウイルス流行の影響で全体のデータが取得されておらず、当然各種結果にも反映されていない。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。