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広瀬章人八段(34)王将リーグ残留争うサバイバルマッチ勝利 糸谷哲郎八段(33)4連敗で陥落決定

松本博文将棋ライター

 11月5日。東京・将棋会館において第71期ALSOK杯王将戦・挑戦者決定リーグ▲広瀬章人八段(34歳)-△糸谷哲郎八段(33歳)戦がおこなわれました。

 10時、広瀬八段の先手で対局開始。まずは変幻自在な糸谷八段の序盤作戦が注目されましたが、本局では居飛車で雁木でした。

 広瀬八段は左美濃に構えたあと、積極的に仕掛けていきます。着実に急所をとらえたか、居玉のままの糸谷玉を左右はさみうちにする形で、次第にリードを広げていきました。

 糸谷八段は中段に玉を逃げ出します。しかし広瀬八段は下から追って、ぴったり寄せきりました。

 棋界屈指の早指しの雄として知られる糸谷八段。本局は不出来な内容だったが、持ち時間4時間のうち半分も使わないまま、16時18分、81手で押し切られました。

 リーグ成績はこれで広瀬2勝3敗、糸谷0勝4敗。糸谷八段は成績下位3枠に入ることが確定し、残念ながら陥落が決まりました。これほどの実力者でも4連敗してしまうあたり、本リーグの過酷さがうかがえます。

 広瀬八段は11月9日、永瀬拓矢王座(1勝1敗)と対戦し、一足先にリーグ全6戦を終えます。難敵が相手ですが、勝って残留につなげたいところです。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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