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大人の恋愛はLINEよりメール。「センテンススプリング」を回避せよ

大宮冬洋フリーライター

「sentence spring」と大きく印字されたTシャツが流行っているらしい。もちろん、ベッキーのLINE文章に悪乗りしたものだ。確かに面白いけれど、「オシャレないじめ」に加担している気がしてさすがに着る気にはなれない。

芸能人のスキャンダルからは「スターが凋落。ざまあみろ」的な暗い快感を得ることもできるが、見方を変えると「人のふり見て我がふり」を直す機会になる。31歳のベッキーがなぜあんな子どもっぽい文章を書いてしまったのか。それは彼女の知性や語彙が足りないのではなく、LINEという通信手段の性質によるものだと思う。

筆者は30代40代の男女を中心とする「恋バナ」を収集することをライフワークにしている。お見合いおじさんとして活動したり、アラサー女性の恋愛相談にのることもある。男女の出会いの現場で感じるのは、連絡先の交換をLINEやフェイスブックで済ませることが主流になっていることだ。

合コンなどではまず全員でLINEグループを作る。「楽しかったね」「また集まりましょう」といった趣旨の無難なメッセージやスタンプを送り合って「みんな仲良し」的な雰囲気を醸し出しつつ、気になる異性には個別にこっそり連絡を取るのだ。手軽でスマートに見える。しかし、敬意を欠いたコミュニケーションになりがちだという大きな落とし穴がある。

自分と友人のLINEでのやりとりを改めて眺めてみた。パソコンメアドによるメールと比べると、非論理的でバカっぽい短文が大半であることがわかる。キーボードで文章をゆっくり作るのではないこと、スタンプや画像を多用すること、などが影響しているのだと思う。

LINEやフェイスブックはごく親しい友人や恋人との気軽なやりとりに使うならば便利なツールだが、「これから親しくなりたい人」や「明らかに目上の人」との連絡手段としては不向きである。中には、仕事上の連絡をSNSだけで済ませようとする人もいる。相手が「自分は軽んじられているのか」と不安に思うリスクを考慮していない。

恋愛も同じだ。常識のある社会人であることを相手にわかってもらうまでは、LINEの使用は控えめにするべきだと思う。特に、ふざけたスタンプ(筆者もいくつか持ってます)を使うのは避けたい。

スーツを着ると姿勢が良くなるのと同じように、通信手段によって言葉遣いは大きく変わる。いま対面していない相手にとっては、自分が選んで送る言葉の質と長さが自分の「すべて」であることを忘れないようにしたい。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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