Yahoo!ニュース

国民年金保険料の本当におトクな支払い方は?

豊田眞弓永続家計アドバイザー/FP/大学非常勤講師
年金手帳(写真:アフロ)

自営業の人にとって、5月は国民年金の季節(!?)。支払い方法を変更しようと思っていて間に合わなかった人は、来年に向けて手続きをしておきましょう。また、未だに現金払いや毎月口座振替をしている人は、少しでも節約になる方法を考えてみましょう。手続きの期限は2月末までです!

■国民年金保険料との小さな闘い

国民年金保険料を支払う義務があるのは、20歳以上の「第1号被保険者」に該当する人で、自営業・自由業、農業従事者等、フリーター、無職の人、学生などです。年収が一定以下の人は免除や納付猶予の制度を利用でき、学生には「学生納付特例制度」もあります。

私も国民年金の加入者で、現在、1年前納の口座振替をしています。2019年の国民年金保険料は、月16,410円、口座振替1年前納で192,790円。これをクレジットカード払いにすれば、カードのポイントもついてさらにおトクになると、切り替えを心に決めていたのでした。

しかし、口座引き落としの通知が届いた4月の段階で年金事務所へ問い合わせたところ、今年の切り替えはすでに間に合わず。3カ月前、つまりは2月末までに手続きを終えておかなくてはいけなかったのです。間に合うタイミングで通知が欲しい!とは思いましたが、早く通知をしたり納付書を送れば、今度は忘れたり、納付書を紛失するトラブルもあって難しいのでしょう……と理解しました。

なので、2020年分の手続きを今からやっておきましょうということで、このタイミングのコラムとなった次第です。

実はよくよく調べてみたところ、クレジットカードへの切り替えをすると、保険料は口座振替よりも少し高くなり、想定していたよりもメリットは小さいこともわかりました。でも、個人的にはめげずに切り替えを行うつもりで進めています。

■国民年金保険料の支払い方と割引

さて、ここで国民年金保険料の支払い方による割引の違いについて整理しておきましょう。大きくは4つに分けられます。

1・早割(口座振替)

口座振替は翌月末に行われますが、それを1カ月早く当月末に振替をするのが「早割」です。毎月の口座振替を1カ月早い支払いにするだけで、月50円の割引を受けられます。前納に手を出だすと家計が混乱するという人は、せめて早割を行えば節約になります。

ただし、早割は口座振替のみで、クレジットカード払いはできません。

2・前納(口座振替)

口座振替で前納をすると、割引が適用されます。前納期間としては、6カ月、1年、2年があります。それぞれの支払いのタイミングや2019年の割引は次の通りです。

・6カ月前納

4月~9月分を5月に支払い、10月~翌年3月分を10月に支払います。保険料は半年ごとに97,340円で、年間で2,240円の割引です。

・1年前納

4月~翌年3月分を5月に支払います。1年前納の保険料は192,790円で、年4,130円の割引です。

・2年前納

4月~翌々年3月分を5月に支払います。2年前納で保険料は379,640円。2年分で15,760円もの割引になります。

3・前納(現金)

現金払いとは、納付書を使って銀行やコンビニで支払うことを言います。現金でも前納をすることができますが、割引額は口座振替よりダウンします。前納期間や支払いのタイミングは口座振替の前納と同じです。

・6カ月前納

保険料は半年ごとに97,660円で、半年で600円、年間で1,200円の割引です。

・1年前納

保険料は193,420円で、年3,500円の割引です。

・2年前納

保険料は380,880円。2年分で14,520円の割引になります。

いずれも、口座振替の前納に比べ、年間で600円程度の差があります。口座振替の方がおトクになります。

4・クレジットカード払い

国民年金保険料はクレジットカード払いも可能です。前納にして、さらにクレジットカードで支払えば、「ポイントもついてさらにおトク」と私も考えたのですが、前述のように実はちょっと事情が異なります。事前に手続きをしておけば、クレジットカードで、6カ月前納、1年前納、2年前納をすることも可能ですが、口座振替よりも割引率が低い現金による前納と同じ割引額になります。

しかし、クレジットカードで0.5%のポイント還元があれば、口座振替の前納割引を下回ることはありません。より還元率の高いカードであれば、さらにメリットは大きくなります。注意点として、国民年金保険料はポイント付与の対象外となっているカードもあるので、クレジット払いにする際は事前にカード会社に確認が必要です。

国民年金保険料の割引額(2019年度)
国民年金保険料の割引額(2019年度)

■「2年前納」の落とし穴!?

割引を考えると、2年前納の口座振替か、あるいは2年前納のクレジットカード払いが賢い選択のように思いますが、人によっては落とし穴にはまる可能性があります。2年後の支払いについて、すっかり忘れて暮らしていたりすると、38万円の支払いはなかなかの負担。しかも、通知が届くのは4月で、1カ月弱で支払日が来てしまうのです。

前納が口座振替だった場合、残高不足で振替ができないと、次の振替日(1年前納・2年前納の場合は翌年の4月末)までの間、割引が一切ない翌月末口座振替になってしまいます。

しかし、それはまだいい方かもしれません。クレジットカード払いの前納だった場合、すっかり忘れていてクレジットカードの引き落としができなかったり遅れたりすると、もっと大ごとになりかねません。

そんな事態に陥る可能性があるなら、初めから1年前納や半年前納、または早割の口座振替にとどめておく方が賢い選択では? 自分にとって本当におトクな支払い方は、家計管理力があるかどうかでも違ってきそうです。

■前納するなら積立を!

国民年金保険料に限りませんが、年払いやまとめ払いをする際には、しっかり自動積立定期などで資金をとりわけておく習慣を付けることが大事です。

「私は大丈夫」という過信はキケンです。

【関連コラム】

固定資産税を少しでもおトクに支払うには?LINE Payで払える自治体も登場

永続家計アドバイザー/FP/大学非常勤講師

<生涯永続できる家計の実現を!> マネー誌・女性誌等のライター・コラムニストを経て、独立系FPへ。講演・研修、コラム執筆や監修、個人相談などを業務としている。ライフワークとして、子どもから大人の方まで幅広く金融経済教育に携わっている。亜細亜大学ほかで非常勤講師、子どもマネー総合研究会理事を務める。趣味は講談、投資、猫に添い寝。

豊田眞弓の最近の記事