セリエA昇格サレルニターナ、娘が暴行被害の対戦監督に連帯 指揮官「素晴らしい街」
まだ、傷は癒えていないだろう。それでも、少しでも救いになったことを願うばかりだ。
5月10日に行われたセリエB最終節で、サレルニターナの選手たちが対戦相手ペスカーラの指揮官に連帯を示した。ジャンルカ・グラッサドーニア監督は、サレルニターナの本拠地サレルノの街に感謝している。
この日の試合にセリエA昇格が懸かっていたサレルニターナだが、試合前に選手たちはグラッサドーニアがいるペスカーラのベンチに向かった。グラッサドーニアの18歳の娘が先日、サレルニターナの“サポーター”から暴行の被害に遭ったからだ。(こちらを参照)
グラッサドーニアは「恥だ」「もうたくさんだ」と激怒。妻も「狂気の沙汰」を許すことはできないと怒りをあらわにし、「サレルノから遠く離れたところで暮らしていく」と話していた。
サレルニターナと昇格を争っていたライバル、モンツァのクリスティアン・ブロッキ監督も、前日会見で「狂った行為」と暴行を非難。連帯を示し、「サッカーはすべての人に愛されるスポーツであり、各々のチームを応援しながら素晴らしい競争にしなければいけない」と述べている。
そして迎えた最終節、サレルニターナ陣営は、理不尽な目に遭ったグラッサドーニア家を思いやり、大事な試合の前に対戦相手に寄り添った。その様子は複数のイタリアメディアが伝え、「素晴らしい行動」と賛辞を寄せている。(『コッリエレ・デッロ・スポルト』電子版のフォトギャラリーはこちら)
試合後、グラッサドーニアは、クラブ公式メディアで「まずはこの間にそばで寄り添ってくれたすべての人に感謝したい」と話した。
「ペスカーラの街、サレルノの街に感謝する。この件でサレルノの街全体がそのようにみなされたのは申し訳ない。だが、サレルノはまったくそのようでなく、素晴らしい街であり、素晴らしいサポーターがいると保証する。この単発的な行為で、街全体が台無しにされてはいけないのは当然だ」
なお、試合はサレルニターナが3-0で勝利。1998-99シーズン以来となるセリエA復帰を決めた。
優勝したエンポリとサレルニターナの昇格が決まり、セリエBはこれから昇格プレーオフを行う。出場するのは、モンツァ、レッチェ、ヴェネツィア、チッタデッラ、ブレッシァ、キエーヴォの6チームだ。